2013年11月17日

こころ変わりの見極めには時間が必要である

今朝は7時起床。部屋の掃除をしてから、宝篋山へ向かう。



同行した水槽氏がシジミを探しているとのことだったので、610も網を携えてガサガサしていたわけだが、どうしても対象が砂の上に写ってしまう。エビはいくらでも見つかるわけだが、種類が分からない。そういって今まで放棄してきたので、今回はとりあえず写真を撮ってみたのだが、これをもとに絵合わせをしてみるとスジエビのような気がしてくる。ハサミのある付属肢が長いことや、その関節が黄色いあたり、かなりスジエビっぽい特徴を醸し出している。詳細なチェックをするのであれば採集する必要がありそうだが、果たして宝篋山には他の淡水エビは棲息しているのだろうか。こうなると気になってくる。そういえば甲殻類の採集は手つかずである。次回の宝篋山訪問の際にチャレンジしてみようかなあ…


何らかの菌類に寄生されたカマキリの死体を水槽氏が発見、引き揚げてみるとご覧のありさまであった。バッタで似たような死に様をさらしているものは見たことがあるが、カマキリはお初。


大きな大きなオニヤンマのヤゴを発見。もっと小さいものが今回も先週も見つかっているのだが、彼らは成虫になるまでに数年かかるのだろうか。気になって調べてみると、何と5年もかかるのだという。寒いところのムカシトンボが7年かかっていることを考えると、ふつうの環境(?)にいる彼らが5年も要するのは不思議に感じるが、あれか、単に大きくなるのには5年くらい時間がかかるのだろうなあ。


池の岸辺に緑色のバッタがいるかと思えばウマオイ。610にとって彼らは真夏の夜の、蒸し暑くて風ひとつないあの夜に「スイッー…チョン!」と鳴きわめく姿が印象的過ぎて、冬日も経験した後に遭遇してしまうと、彼女には失礼だが場違いな印象を払拭することができない。しかもこの美しさ(肢や触角に欠損が無い上に、翅も傷んでいない)である。
ただ、おそらくウマオイに対する知識不足のために色々と誤解をしているからこう思うのであって、実際は夏から晩秋にかけてが活動時期なのかもしれない。さらに情けないことに、610には彼女が「ハヤシノ」なのか「ハタケノ」なのか判断することができない。


緩やかな流れの上で息絶えていたオオアオイトトンボ。本日は晴天で気温も高くなり、本種が数多く飛び交っていたが、もうシーズン終了も間近である。


さて今回はシジミがいる可能性を期待して水抜きがされている池の上に降り立ってみたのだが、殻は転がっているものの肝心のシジミは見つからなかった(水槽氏は発見していたかもしれない)。付近を歩いてみたところ、まずイノシシの足跡を発見したのだが、その足跡の行きつく先には大きな穴が掘られており、しかもそこから岸に向かって足跡らしきものが続いているようにも見える。
これはおそらくイノシシのヌタ場だろう。ここで体に着いたダニとか寄生虫を落とすため、イノシシたちはゴロゴロとするわけである。その様子をリアルタイムで見てみたくもあるが、恐ろしい…


紅葉は見ごろのようだが、如何せん常緑樹が多いためあまりぱっとしない。

宝篋山散策を終えて水槽氏とY君と別れ、一時帰宅した610は昼食後兵太郎池へ出向く。そろそろ鳥見ができるだろうかと、下見も兼ねて行ってみた訳だが・・・水鳥は留鳥のカルガモの他にはマガモしかやってきていない上に、池畔の木々は葉を落としきっておらず、しかもアオサギは出向中、散策していても大した観察ができなかった。ただ、声はすれども姿が見つけづらい代表格のアオジを観察できたのはラッキーであった。


虚空に立てる枯れ木に見える丸い穴はキツツキ(多分アカゲラ)が創成したものであろう。ここではアカゲラとコゲラ、2種類のキツツキが気軽に観察できる。


スギ?の倒木の切り株の突端になぜかアカスジキンカメムシの終齢幼虫あり。


下草から不意に出てきたコカマキリ。

池畔林を抜け出し、お隣の植物見本園に移動。こちらでおそらくジョウビタキと思われる鳥を観察していたところ、不意に足元で何かが動く音が聞こえてきた。その音の正体は一瞬動きを止めてこちらの様子を伺った後、ゆっくりと池の方へ逃げていき、池畔と半ば地続きになっているガマの茂みに身をひそめた。あまりパニック状態になっていないような気が下610は、そろりそろりと後を追い、その生き物が身を隠したガマの茂みの前でしばし待機。しばらくすると、よしよし、出てきた出てきた…


写真の真ん中あたりに、動物質の細長い何かがあるのがお分かりだろうか。あるいは、この写真だけで正体がお分かりになったであろうか。


枯れ枝がうまい具合に邪魔をしていて鬱陶しいものだが、逆に、これが無ければじっくりと対峙することもかなわなかったかもしれない。
上の写真ではほぼ全身が写っているのだが、以前から610のブログに目をお通しの方であれば、610の冷凍庫で保管されているある動物とこの動物とのつながりにお気づきになられたかもしれない。


この後、一度向きを変えて再びガマの茂みに隠れてしまったのだが、なおもジッと様子をうかがっていたら、再びこちらに戻ってきた。今度の位置では顔に下草がかぶっておらず、まじまじと見つめあうことができる。わざわざここまで種名を明かさずに引き伸ばしてきたわけだが、もう種明かしをしてもよいであろう。610、イタチに遭遇!


610は宿舎生活3年目、今は三の矢学生宿舎で好き勝手な生活をしているわけだが、この辺りでネコ以外の哺乳類を見たのは初めてのことである。これは興奮せずにはいられないが、興奮に任せで雑な動きをすれば、イタチはすぐにいなくなってしまうのは明白であるから、ドキドキしながらも冷静を装い、細心の注意を払ってガマの茂みから戻ってくるのを待ち続けた。そのおかげで、トリミングではあるがしっかりピントの合った写真を撮影できたのは大いなる喜びである。
この写真の後、イタチは岸辺に上陸した。その時一瞬、辺りの様子をうかがうかのようにひょいと頭部を持ち上げたわけだが、この瞬間を撮影すること能はず。下草に隠れていたこともあってどこから出てくるか分からなかったが、その瞬間を肉眼で、しかも比較的近距離で確認することができたのは不幸中の幸いであったとともに、とても印象的であった。


その後も接近を試みたのだが、フィールドの達人であるイタチに適うことはできず、こんなブレブレの写真(中央右側に、右を向いているイタチが写っている)を最後に見失ってしまった。いや、それにしても至福の時間であった。

~・~・~

さて、明日はいよいよサンスクリットとヘブライ語の答え合わせ。ブログ執筆時点で、サンスクリットが23題(1セクション分)残っているのですが、これをどこまで詰めることができるでしょうか?


さて、先ほどイタチを追いかけていたわけですが、観察を終えて三の矢の部屋に戻った時、ふと思うことがありました。

「やっぱり、哺乳類は研究対象にしない方がよいのではなかろうか」

哺乳類というジャンルは、今まで610が昆虫に対して捧げていた想いというかアプローチを補完する存在になりうるもののようです。

というのも、『僕らが死体を拾うわけ』を読んでからの610は、やれ死体があれば拾い、骨があれば拾い、ロードキル情報があれば誰よりも早く現地入りし、容量が足りなくても冷凍庫に死体を詰めようとし、時間があれば未知の骨のことばかり考え、今度の年末年始にはどこどこの海岸に行って海獣の骨を拾いたい、そんなことばかり考えていて日常生活に激甚な支障をきたし続け、ついには自分の進路すら見失っています(この現象をアニマルクラッシャーと名づけたい)。その一方で昆虫に対するこういったimpulseは、年々落ち着きを見せているというか、過激ではなくなっており(自分ではそう思えても、他人から見ればまだまだ狂気の範疇を超えていないかもしれませんが)、円熟した付き合い方に到達する途上にあると言えます。
もう少し補完という言葉に沿って考えてみると、哺乳類や骨の探索は昆虫のオフシーズンとなる冬でもできますし、ロードキルの状態は冬の方が鮮度的には良好で、においの心配も少なく骨格標本作りがはかどります。

この構図というものに、いまさらになってようやく気が付けたようです。そして、冷静になってこの様子を俯瞰してみると、「好き」を通り越してストーカーのようになっている哺乳類に対して専門的な研究をする、ということが、どうにも不釣り合いなように思えてきたのでした。なんというか、このように短期間で熱狂的にはまり込んでしまったものに対して、果たして一生添い遂げていくことができるか(研究対象とするか)という点で無理そうな気がしたのです。言い方を変えれば、哺乳類に対する熱が冷めたり、昆虫に対して未練が生じたとき、破滅するのではないか、という恐怖に直面したのです。
実は、今日イタチを見る前からも、哺乳類を研究対象としてとらえる意欲は下がり続けていました。どの程度かというと、京都へ研究室見学に行かなくてもいいや、という感じです。行ったとしても、研究対象としての魅力を自分の言葉で紡ぎだすことが出来そうにありません。

―以上、長々と書いてきましたが、要約すると以下の通りです:
610は京都大学動物系統学研究室ではなく、大阪市立自然史博物館(なにわホネホネ団)に所属すべきである!

対象が哺乳類から骨そのものへシフトしていますが、言わんとしていることはお分かり頂けると思います。



Posted by Impulse610 at 18:10│Comments(2)
この記事へのコメント
イタチは実家で一度見たことがあります。
思ったよりも小さくて愛くるしいですね。

ヤマトヌマエビやテナガエビは海とつながっていないと繁殖できず、
ミナミヌマエビはもっと南に分布するようですが、スジエビ以外も生息していたら興味深いです。
アメリカザリガニがいることは想像に難くないですが、
サワガニがいる可能性もありますね。
Posted by rvstone313 at 2013年11月17日 20:54
>rvstone313 さん

イタチに会うのは運要素が強いですよね。

宝篋山には淡水エビが沢山見られますが、どれくらいの種がいるのかはおそらくよく分かっていません。ちなみに、アメリカザリガニはいるところにはいますが、淡水エビが沢山いるところでは少ない或いはいません。
サワガニは林内の沢(昔オサ掘りをしたあたり)で普通に見られます。

p.s.この時期にこのブログを見るのは危険です!人生の方向性、指針を失うリスクがあまりに大きいです!
Posted by Impulse610Impulse610 at 2013年11月18日 09:29
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