2018年01月29日

2018. 1. 19 - 29 の人生

1.19
午前中は書類作成と今後の研究方針のディスカッション。これまで意識的にか無意識的にか遠ざけていた胚の外部形態観察に取り組むことになりそうだ・・・この研究室の必修課題ともいえる生卵解剖が4年連続失敗に終わっている以上、いいデータは得られそうもないのだが、Just Do Itの精神を発揮するしかない。昼に漬物を食べ、午後の会議に出て、とりあえず卵を切って染める。

1.20
午前中は買い出し。午後に生卵解剖に挑んでみるがやっぱりだめ。私のスキルが絶望的なことこそ諸悪の根源だろう。とはいえ、細長く、ある程度の大きさがあり、さらには胚が卵黄に深く沈んだりしないといった、生卵解剖しやすい条件が一つもないカワゲラ卵はそもそも困難な材料なのだろう。そう信じてあきらめ、たくさんある固定卵からの胚を取り出す。胚を出すだけなら生卵解剖より100倍簡単だ。夜に自炊して帰る。

1.21
胚の摘出および洗浄。洗っても卵黄はなかなか取れない。こういう人生である。

1.22
ひとまず胚をSEMで観察。何とかなるのかもしれないと感じるが、それでも諸先輩方の素敵な電顕写真には足下も及ばない。

1.23
午前中はBOSSのセミナーに参加し翅の話を聴く(2度目)。最後に出てきた空飛ぶイシノミ論文に衝撃を受ける。昼食時にその動画を見てさらに驚く。それから胚の掃除。夜にBOSSに現状を報告し、ひとまず観察ではなくてちゃんとした方法でみてみなさいと指導を受ける。

1.24
胚を出したり、ちゃんとした方法で脱水したりする。英会話に出て、夕食を食べ、雪のため作業を中断して帰寮。

1.25
午前中は書類作成。論文も読んだりする。午後は後輩の卒研スライドチェック。その後電気分解。夕食後ちゃんとした方法でSEMをみてみたが、そこに至るまでに多くのサンプルがどこかに飛び去って行った。

1.26
引き続きSEM観察。やっぱりサンプルが飛んだり落ちたりする。TEMの面倒くささも大概だが、胚の外部形態観察も試練の連続である。そしてTEMの調整方法を、24日からいらしている卒業生の先輩に教わる。夕方にBOSSにSEMの試練について相談し、何とかなりそうな方法を導き出す。夜は先輩方と山を下りて濃厚なラーメンを食べる。

1.27
午前中買い出し。午後は構内を散歩したり、倉庫にある備品の双眼鏡をいじったりする。カビのせいで使えなくなっているものが結構あるので、気晴らしと実益?もかねて掃除しようかと画策中。まずは見た目も悪く接眼レンズが白っぽく汚れている、先代の大学時代からある富士山マークのやつ Nippon kogaku 9x35A を奇麗にする。接眼レンズをばらしてみると、襀年の汚れがびっしり・・・洗剤つけて指でゴリゴリしているうちに消えてなくなり、昔の輝きを取り戻した。プリズムのカビも拭い去り、光学系は復旧、とりあえず通常利用可能。そのほかもう一台のカビを取る。それからSEM。先日投げた論文に関連する構造が偶然観察出来て喜ぶ。これはぜひとも論文に載せたいところだ(そうしてこの苦行の報いとしたい)。
夕食後、11月末に購入した戦前のドイツ製双眼鏡をいじる。視度調整リングのヘリコイドが完全に固着していてどうしようもなかった(ドライヤーで温めても、超音波洗浄を試してみても、有機溶剤を注ぎ込んでみても・・・)のだが、パーツクリーナーに漬けこんで1週間たった先週、わずかに動いた。それでもう1週間放っておいたが、やっと完全に分離。ただし方向を誤ったか、それまでにやらかしたか、スムースに動作しない。これは悔やまれるものの、ひとまず通常使用はできる状態になった。

1.28
安曇野の犀川白鳥湖なる場所に出向く。昼前に着いたからかハクチョウは少なかったものの、水鳥はたいへんに豊富であった。またここの端っこにはオオタカがいるようで、その観察もできた(もっとも現場では何だかわからなかったが)。例のドイツ製双眼鏡 Carl Zeiss Deltrintem 8x30 と、実験所の備品である Nikon EII 10x35 を拝借して比べてみたのだが、もちろん、圧倒的にニコンのほうがよく見えた。デルトリンテムも悪くはないが、やはりEIIの像のクリアさ、コントラストの高さ、それに視野の広さにはかなわない。まあ、曇っていて暗かったこともあるし、戦前のコーティングのない光学系で現行機より見え味が優れている方がありえないのだが・・・だがデルトリンテムは200gくらい軽いので、長期間の利用とかほかの荷物との兼ね合いを考えると圧倒的に優位である。しかしここは最高の場所だ。また日を改めて訪れたい。
山に帰って自炊。ご飯を食べて帰寮。

1.29
午前中から昼過ぎにかけてなんとかなりそうな方法でSEM観察。確かにかなり何とかなって快適であった。だが観察が上手くいっても、見ているものが汚すぎて一概に喜べない。双眼鏡と同じで、繰り返しばらして掃除する努力を重ねていけばきれいにできるようになるのだろうか・・・夕方まで書類づくり。夕食後胚の取り出しをしようと思ったが気力が続かずブログ書き。  


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2018年01月18日

2018. 1. 10 - 18 の人生

1.10 (YTOW の日)
前日にやる気をなくしていたのだが、その理由の一端として、切るべきものが用意していないということもあった。また、BOSSとの会話の中で、いろんなカワゲラを切ってみただけの論文があってもいいよね、という萌芽もあったので、さらには、気分転換もかねて、5種のカワゲラの樹脂包埋作業を開始。この日は一日中寒天包埋。

1.11
昨日とは別の3種を、別の樹脂に包埋するため作業開始。また、BOSSが解放された合間に突撃して英文校閲の最終確認を済ませ、2本目の論文を投稿。投稿先がだいぶ内輪の雑誌なのでリジェクトされることはないだろうが…

1.12
樹脂ブロックづくりを進めつつ、以前用意した卵を切ってみる。あんまりよくない。

1.13
午前中買い出し。午後自炊。それから樹脂包埋。雪がひどくなりそうなので早めに帰寮。

1.14
午前中は寮の定期清掃。その後、ついでに居室の不定期清掃。昼食後、構内散策。滝は完全結氷。先日用意したブロックの薄切準備。

1.15
一日中卵を切る。久々にガラスナイフも作る。

1.16
日中は卵を切る。夜は切った切片を観察。固定や染色はみな同一の工程を踏んでいるが、種群により染色具合が異なる現実を目の当たりにする。まあ染色液を更新するとか染色・洗浄の時間を調整すれば何とでもなりそうだが、これが複数種を扱う上での宿命なのだろう…

1.17
今後、海外に研究しに行く可能性が浮上しており、それに関連する説明会に出席するためだけにつくばに出向。さいわい旅費が下りたので鉄道利用と相成った。説明会の前に久々に部室に立ち寄り、現役当時は微塵も興味がなかった、やどけん所有の双眼鏡をチェック。ふむふむ。それを見届けてから図書館に立ち寄り、現在販売されている唯一の双眼鏡専門書を借りる。ちらっと某双眼鏡の項目を見たが、もう最高であった。それから説明会に出席したが、弊研究室出身の方と偶然出くわす。帰路はラッシュに巻き込まれるものの、完全に双眼鏡おじさんとかしていた当人は忘我の境地に達していた…

さてこの日は菅平でも雨が降っており、道路上の雪は流されるか、表面がつるつるになっていた。そんなつるつるの雪で覆われている近道(上り坂)に挑んだのだが、いつもは難なく登攀できるところを、途中で失速、完全に動けなくなってしまった。激しい後悔をしつつも、とりあえず後退しないといけない。後退を始めると・・・ろくもん号はいうことを聞かない。これはまずいと思いつつ、運転席側に加重した影響で右へ右へと滑りながらゆっくり下って行ったが、このままだと側溝にはまること不可避と判断、何とか停車したところでチェーン装着を開始。外に出てみたが、つるつるの雪の上には激しく水が流れており、ちょっと動くだけでも滑ってしまいそうになる。人生とはかくのごときものかなと嘆きつつ、何とか装着完了。するとどうだろう、ろくもん号は確かなグリップを披露し無事に安全地帯へ走ってくれた。一安心したところで再度登攀に挑んだところ、あっけなく制覇したのであった。

1.18
つるつる雪面で消耗したせいか、あるいは出張疲れか、モチベーションは低空飛行。事務作業を進めようとしたのだが、第一関門で挫折してしまった…お昼過ぎにようやく切片観察。早く帰って寝よう…  


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2018年01月09日

2017. 1. 5 - 1. 9 の人生

1.5
卵を固定したり、図をいじったりする。オフィスの片付けも行う。最終的に原稿を英文校閲に向けて投擲。

1.6
高校時代の同級生らと新年会。その前に仲の良かった人物と母校周辺を散歩したのだが、いろいろと苦しそうであった(後の宴会の場でもだいぶ衝撃的なことを聞いてしまう・・・)。何とか持ち直してくれるといいのだが… 宴会の場では日本酒をしこたま飲む。年末の忘年会と違い、かなり胃にやさしい食事であった。

1.7
酒を飲みすぎたせいかあまり調子がよくない気もするが、双眼鏡を手にするとすべてが全快する。某高台から某市街を見下ろし、戦前の双眼鏡の制度の良さを再認識。

1.8
買い出しと自炊、そして帰ってきた校閲の中身を点検。私の能力的にまだ一人ですべて判断できないのでBOSSに最終的な相談をしたいのだが、今週は何かと忙しそうなのでしばらく温存。

1.9
正月モードがまだ抜けきっていないことや、目下のやるべきことがひと段落したこと、研究室メンバーが誰もいないこと、そして長時間移動につきものの疲労感からか、モチベーションが上がらない。もう少し寝ておくべきだったと反省しつつ、ごみを捨てるとか、高校の同期の研究について調べてみるとか、しばらく滞っているラボのHPの更新をするとか、こういう精神状態の時は欠かさず行う、博士号取得後のキャリアや博士論文執筆の苦行について書かれたネットの記事の読み漁りなどをして時間を浪費する。現在のモチベーションの低下は一時的なものと信じたい・・・
夜、いきなりBOSSから電話がかかってくる。いろいろ端折るが、とりあえず6月に投稿し、10月に最終版を投げた論文が受理されたようだ。ようやく肩の荷が下りた気分だが、いろいろな状況から察するに、去年のうちにページ数まで確定してオンライン公開されていた可能性に気づいてしまった。結構複雑な気分ではあるが、まあ人生こんなもんだろう。早いうちに2つ目の方にもけりをつけたいところだ。そしてとっとと3本目を…  


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2018年01月04日

2018. 1. 1 - 1. 4 の人生

1.1
除夜の鐘を打つ。朝はお雑煮を食べる。お出かけし、お昼を食べる。初詣に行く。初双眼鏡はスズメであった。

1.2
ある方と久々に再開し、鳥を見たりする。おそらく5年以上ぶりにチュウヒを目撃する。当時はたいして鳥に興味がなく、旋回を繰り返しながらねぐらに帰っていく様子を眺めていただけであったが、この度はチュウヒらしい飛翔行動をだいぶ堪能できて満足であった。夜のうちに帰菅しようと考えていたが、雪が降り始めたらしく延期…

1.3
明け方に目を覚まして帰菅開始。ある道で除雪がなされておらず、相当な困難を感じる(3台ほど車が動けなくなっていた…)。給油や買い出し、またエンジンオイル・オイルエレメント交換をして雪山に帰ったころには昼を過ぎてしまっていた。それから実験所に出所したが除雪されておらず小スタック。なぜかBOSSがいらしたので挨拶も早々に添削をお願いした原稿を簡単に解説してもらったり、来たる学会について話をしたりする。その後昼食を作り始めたが、正月休み中の施設内はどうしようもなく寒く、無理を悟る。仕方なく、かなり久しぶりに寮で夕食を作る。

1.4
運転の疲れをとるため午前中はゆっくり過ごしてから出所。直された原稿の内容を確認したり、BOSSに質問したりして過ごす。直していくうちにいろいろと気づくことが多く、実力不足を思い知ったり、これはちょっとまずいのではと感じたりする。前回書いたような長大な内容ではないのでかなり気は楽であるが、この次の論文やさらにその先の博士論文(書けるのか?)を考えると厳しさを感じる。
  


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