2014年04月10日

ハネカ観察その2

昨日は7時前に起床。

午前中は走査型電子顕微鏡の資料作りを教わる。午前中だけでは終わらなかったので脱水過程の途中で止めておく。


菅平の雪はどんどん解けており、斜面になっている草地では雪解け水が小川になっていた。その草地の上に奇妙な痕がいくつも走っていたのだが、これはネズミの通り道だろうか。

14時にセンターを出発しハネカ観察に再度同行。途中高速道路が一部通行止めになるアクシデントがあり到着時間がギリギリになってしまったが、ハネカの数自体は前回より多かった。


上の写真はトリミングしてあるが、やはり体長2~3mm程度の小昆虫は撮影が難しい。


川岸には蜘蛛の巣が貼ってあったりするのだが、そういう所には沢山のハネカが捉えられている。
ちなみに今回、渓流の中州で虫網を振っている人がいて、まさかの同業者との遭遇に驚かされたのだが、その方はなんと「ハネカ」で検索すると一番最初にヒットするブログの管理人であった。610はカワゲラ探しをしている間(2科2種2匹採集)に先輩方と情報交換を行っており、極めて有益な情報を与えて頂けたようだ。次の機会があるのか、会っても参加できるのか分からないのだが、ぜひとも大発生の瞬間に立ち会ってみたいものだ。

そんなこんなで出発するのが19時前になってしまい、上田のラーメン屋で夕食を済ませて帰菅。なかなかにハードであったがハネカもカワゲラも見られたことだし先輩方ともそこそこ交流がはかれたと思うのでよかった。

~・~・~

本日はSEM資料作りの続きなどを行うでしょう。  


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2014年04月09日

カワゲラばかりいじり論文や教科書を顧みない日々

昨日は蛍光染色を施したカワゲラの卵の観察を行ってみた。固定にムラがあり蛍光下で見ても真っ暗な卵があるかと思えば、きちんと胚がある位置が青白く染まっている卵も見つかり、暗くて寒い暗室の中でひとり感動する(写真をお見せしたくなるのだが、研究のデータとなり得るものなので無闇に出すべきではないということで自粛…)。
お昼時に、朝方N君から教えてもらったポイントに出向き撮影を行う。


1つ目の被写体は、この写真のどこかに潜んでいる。分かる方にはそう苦労せず見出すことができるかもしれないが、予備知識なしでは難しいだろう。ということで拡大写真を紹介。


写真の中央右側あたりに、1対の触角らしき構造があるのにお気づきになればその正体がなんとなく見えてくるのではなかろうか。この擬態の名手はコマダラウスバカゲロウという、俗にいうアリジゴクの仲間の幼虫である。砂の中に巣穴をほって待ち構えるのが一般的なアリジゴクにおいて、こいつは相当な異端児らしい。


それからもう一つ、好雪性粘菌のルリホコリというものを教えてもらう。雪の近くで発生するようで、出初めのものは瑠璃色の金属光沢を放つ。菅平に来てからはもっぱら鳥と足跡を追ってばかりおり、こういった生き物たちに視線を注がずにいたので、これではいけないなあと再確認。

午後は普通の生物顕微鏡で卵の撮影をしたり、卵に穴をあける練習をしたり、卵の周りにまとわりつく粘着物質を効率的に取り除く方法の実験をしてみたりした。先輩方からすれば610は相当なハイペースらしいのだが、その原因は私にではなくカワゲラにある。彼らが季節を問わず出現し、一度に数百個の卵を産んでしまうから、実験材料が容易く手に入ってしまうのである。材料に余裕があるので色々な可能性を模索できるわけで、そういうものを逐一試すことは必要不可欠なわけだが、こなすべき量がかなり多いのである。粘着物質もそうだが、卵に最適な水温・固定液・固定時間・染色法はいかほどか、色々なアドバイスを受けながら見出していく必要がある。
※実験方法で手いっぱいだが、ここに教科書・論文読解とか大学院入試、TOEIC、はたまたロシア・アイスランド・聖書ヘブライ語の学習の時間を組み込んでいかねばならない。どう考えても一寸先は死である。


この出だしからエンジン全開の卒研生活は明らかに正常な状態ではなく、十二指腸潰瘍という病状―つくばにいたころから症状は出ていたので関係はないと言えば無いのだが―を患っていることからも分かるように体にガタがきてすらいるわけである。にもかかわらず激しい生活を続けてしまうのは、ひとえにカワゲラのせいであろう。
う~む、ここはひとつLIFEとは何かを考えて、LIFEとカワゲラとを切り離す必要があるのだろう。こののめり込み過ぎている感覚は周りを見ていないだけでなく自分をも顧みていない感じがして非常に危ない。

というわけで、本日は午前中に電子顕微鏡観察を行えたら、ハネカ観察のリベンジに行ける可能性があります。
まあここでもカワゲラの採集をすると思いますが…というか菅平にはいないカワゲラがいるので採らなければなりません…  


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2014年04月08日

カワゲラに支配される我が人生

昨日の記事の後半に書いたことをもう一度繰り返すと、610は自分の都合で他人を使い過ぎているような気がしている。しかもその内容というものがたいていは自分で勉強するなり行動するなりお金を払うなりすれば独りで解決可能なものであり、簡単に言えば自分が置かれている不利な状況を利用して他人に対する権力関係を構築しているような気がしてしまってならないのである(昨日の通院に関して言えば、バスを使って往復すればよいものを、気遣っていただいた先輩が2時間以上も自分の時間を割いてまで送り迎えをしてくれた)。
これは本当に辛いことで、極力こういうことを避けたいと思うのだが、寮で集団生活を送るとなるとどうしても他人との距離が近くなってしまうもので、610が独りで何とかしようとすると、善意で先輩方が協力してくださるのである。これを突っぱねてまで自分の思い通りに行動できないところ、菅平でいろいろ経験している先輩方に頼った方が何かと便利であるのだから利用してしまうというところ、が私の弱みであることは十分承知しているのだが、こういうことを病院での待ち時間とかそのほかいろいろな場所で考えていると、「610は自分に対して不当に厳しすぎるのでは?」という疑問が湧いてきた。自分という存在を必要以上に不要なものと考え、そんな自分に対していかなる配慮もしないでほしい、自分の運命は自分で受け入れるのだという認識が強すぎるのではないか、と。

いやはや、どうすればよいのだろうか。個人的には自分一人での行動が保障されるアイテム、すなわち車が手に入ればかなりの懸念が解消されると思うのだが、そのイベントが3か月後に控えているとしても、その間に精神状態を崩してしまっては元も子もないわけだから、ここを生き抜く戦略を考えていかねばならない。
そんなことをしている余裕があるのかというと、このまま周りの善意に流されて研究生活に没頭してしまうと創成できそうもないので、どこかでワガママを言うしかないのである。具体的には、先輩方の帰宅時間より少し早めに寮に戻る選択をとり、輸送してもらうことである。もちろん、ここで先輩の時間を浪費させるのだから問題が生じるわけだが…さて困ったぞ…徒歩で帰るか…

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さて昨日はこの前受けたTOEICのスコアが判明した。リスニング320、リーディング340のトータル660であった。大学院入試の基準で換算すれば75%の得点率で、個人的な目標としている700のスコアには若干届かなかったものの、まあ悪くはない値であろう。不幸なことにこの結果を見る前に5月の試験を申し込んでしまったのでそちらも受けざるを得ない。おそらく得点的にもう1度受ける必要は無いかもしれないが、次の試験であと8~10問分正解数を増やせば700のスコアが手に入るのだから、あまり試験対策に時間を割かれることもなかろう。


さてこちらは卵を腹部に抱えたオナシカワゲラの写真である。この様に卵塊を形成し、然るべき場所へ産み落とすのである。


卵塊は水に触れるとバラバラになる。これを回収し、個数やサイズを計測したり発生の観察をしたりあるいは固定、飼育を行うのである。

今朝は6時半起床。少し余裕があるので一気にブログを書いていく。

http://oharakay.com/archives/3472 女の子を「可愛い」とチヤホヤしてはいけない | Books and the City

多分こういうものを毎日のように消費することも前述の気難しさにリンクしてしまっているのだろうが、なかなかやめることができない。
色々思うことがあるのだが、ここに文章を書くことで自分の自由な時間を失っていることを思うと止めておくべきだろう。

  


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2014年04月07日

こんにちは十二指腸潰瘍

昨日は午前中に上田市街地で買い物をし、寮に戻って風呂の掃除(当番)と昼食を摂ってから研究室へ向かう。やる気が出ないことに寒さと眠さが加わってしばらくボーっとして過ごしていたのだが、心を入れ替えてカワゲラ卵の固定を始める。そのついでに卵を観察してみたところ、胚発生が起こっている様子をようやくこの目で見ることができた。今までは死卵だったり発生しているのかどうかがよく分からないものばかりだったこともあり、モチベーションが上がる。これをカルノア液で固定してから、一般的な固定を行うのに必須な「卵殻への穿孔」に取り組んでみたのだが…もちろん技術が無いことももちろんだが、カワゲラの卵が小さすぎるからなのか、孔をあけようにも開けられず、しかもできたと思ったら潰してしまう始末である。カルノア液は強力なのでわざわざ孔をあけなくてもよいのだが、それに甘んじてしまうと他の固定方法を使うことで明らかになる知見を放棄することにも等しいわけだから、穿孔の手法はいつかは会得しなければならない。

さて610は1月ごろから夜な夜な吐き気に悩まされ続けており、「寝るとき 吐き気」などで検索をかけてみたところ、胃食道逆流症(逆流性食道炎?)を患ってしまっているらしい。吐き気には波があり、気にならないときもあれば「これはトイレで待機していた方が良さそうだ」と思うこともある。まだ実際に嘔吐したことは無いが、だからといって楽であるわけでもない。眠たくて横になりたいのに、横になれば吐き気が襲ってくるのだから辛いのである。
昨日は腹の調子も悪く、おまけに夕食を摂って間もないうちから胸焼けを強く感じており、ここ一番の苦しみどきを迎えた。これは耐えている場合ではなく、早急に診察を受けるべきだろう。つくばにいたころに無料で診てもらえる保健管理センターをなぜ利用しなかったのかと、へき地(菅平小中学校は僻地一級校、菅平クリニックはへき地診療所である)である菅平に来て切に思うのである。

というわけで今朝は6時に起床したのだが、今までは寝る前に限られていた吐き気や胃の不快感が朝から感じられるので、大事を取って研究室に行く前に診療所に向かうことにする(というより、朝から調子が悪いと研究室に行ってもまともなことができない恐れもある)。どうなることやら・・・

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菅平クリニックは夏と冬のシーズン以外は週3日、しかも午後4時から1時間半程度しかやっていないらしい。とのことで山を下り、真田の病院で診てもらうことになった。結果は・・・典型的な十二指腸潰瘍! 今まで大した病気になったことが無かっただけに驚いたのだが、確かにつくばで過ごしていた晩年の食生活の乱れ、或いはお菓子をバカみたいに摂食していたことを考えると、まあ避けられない運命だったのだろうとは思う。3週間分の薬を処方してもらいまた経過を観察することになるようだ。

センターに戻ってカワゲラの卵を固定したり観察をしたりといった作業を続ける。3日に唯一採集されたカワゲラ(オナシカワゲラ?)が嬉しいことに産卵してくれ、しかもその卵を観察してみたところ正常発生を行っている様子も確かめられ、一気にテンションが上がる。本当は今日は20時ごろに帰ろうと思ったのだが、この思わぬサプライズによって22時まで滞在することになってしまった。
材料がどんどん手に入ってしまうこともあって引っ越してきてから毎日研究所に通い詰めるラボ畜状態になってしまっているのだが、先輩に「こんな遅くまでセンターにいて疲れませんか?」と尋ねてみたところ、610がハイペースすぎるのではないかという指摘を受けた。言われてみればそんな気もする。やはり自分のペースで行動できればいいのだが、一人で自由な行動ができないことによって相当な制限を受けている結果、どうしても先輩方の動きに合わせるしかないので結果として忙しい日々を送ってしまっているのだろう。
先輩からは自分たちを使ってくれて構わないと言われたのだが、610的にはそうやって自分の都合に合わせて他者を利用することは断固として許されないことであり、しかも本日は自分の都合で2時間近くも「研究外無賃労働」を車を出していただいた先輩にしてしまったわけだし、本当に辛いことである。
車は7月まで手に入らないのだが、このペースで3か月も過ごせるとも思えない。行動の先に見えているのは闇でしかなく、しかも感じるのは死という、来菅2週間目にして悲しい現実に直面してしまった。  


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2014年04月06日

つくばにいる頃より文章が堅い?

研究室にいるときは俗事には目を向けずに過ごすことができればよいのだが、作業とか勉強が一段落したりあるいは行き詰ったり、或いは食事中にはついついtwitterやそのタイムラインに貼られるリンク先の記事に目を通したりしてしまう。とはいっても共有スペースでこの手の文章を読もうとすると頭に入ってこないのできちんと読むのは部屋に戻ってからになるわけである。

http://honz.jp/articles/-/40329 キャバ嬢という矛盾した存在『キャバ嬢の社会学』 - HONZ

素人らしさとキャバ嬢、この2つのトレードオフのおもしろさに気づくには、キャバ嬢を忌み嫌ったり、或いは見下したりしていてはいけないのだろう。610としては彼女たちに客としてお世話になるよりもインタビューをして、キャバ嬢のホンネを聞いてみたいものだ。ちなみに610はお金を払ってまで女性と話したいという欲求はないし、女性に囲まれてちやほやされたいとも思わないので、お客としてそういう所に行っても、610はお金を無駄に使い、お嬢さんたちは心の冷めきった人間を前にして悲しんだり怒るだろうし、何より双方とも時間を浪費してしまうに違いない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140405-00000021-sph-soci 小保方氏「入院してもいいですか?」会見キャンセルも (スポーツ報知) - Yahoo!ニュース

↑のような報道を見ると、なんて往生際が悪いことだろう、謝ればいいのにどうして徹底抗戦をするのだろうか、と氏の不誠実さを批判したくもなるかもしれないが、そういう捉え方は近視眼的ではなかろうか。少なくとも今の風潮は、氏にとって圧倒的に不利であるし、不利であるだけなら良いものの、研究とは関係の無い人格攻撃、世俗的な言葉で言えば人権侵害という不当な攻撃を受けた上での休戦願いなわけである。
「あんな雰囲気のところに、私は到底出て行けない!」と氏は語っているが、その主張は限りなく正しいと思う。世間というものは少しは寛容になるというか、頭を冷やした方が良いというか、ともかく対等な環境をお互いに構築するような姿勢が必要だろう。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38874 小保方晴子氏を「犠牲者」にした独立行政法人・理研の組織的欠陥  | 井上久男「ニュースの深層」 | 現代ビジネス [講談社]

批判の矛先は氏に向けるべきではなく、氏が所属している組織にも向けるべきであって、しかもその向け方も目立ちやすいトップの人間ではなく組織を取り巻く構造を見据えないと、建設的な解決がなされないだろう。
今回の一件で「研究に早急に成果を求めるような考えを改め、もっと時間と資金を与え、自由に研究できるようにした方が良いのだろう」という寛大で太っ腹、将来を見据えた妙案が世間で形成されたら素晴らしい進歩なのだが、先日紹介したような右傾化のことを考えると、研究に対する風当たりはもっと悪くなってしまうのかもしれない。「国民の税金を使っていい加減な研究をするとは何だ。そんなやつがのうのうと生きていることが気に食わない。そんなやつがはびこる組織なんてどんどん潰していってしまえばいいんだ」という具合に。
※もちろん、右と左の二元論で片付く話ではないことも分かっております。


この研究関連の一連のイベントはよく考えていきたい。

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今朝は7時15分ごろ起床。のんびり寝るのもいいのだが、1日の時間を有効活用するには早く活動するに越したことがない。そう思ってはいるものの眠い…

~・~・~

長くなるので分割します。
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2014年04月05日

目指すは「小さな卵から大きな発見」

今朝は7時起床。昨日よりスッキリと目覚める。

http://ueshin.blog60.fc2.com/blog-entry-2005.html 底辺と「まつろわぬ人たち」

朝っぱらこんなものを読んでいたのだが、610は人生を楽観視しすぎるきらいがあるらしく、自分がいわゆる「底辺」に落ちぶれたとしてもそれなりに楽しそうな日常を過ごしていけそうな気がしている。具体的に言えば、社会に貢献しようという気概に欠けているので、日雇い労働でも派遣でも何でもいいからその日暮らしのお金を得て、当然自由に使えるお金は少ないのだから食費は切り詰めに切り詰め、毎日こんにゃくを齧り、或いは野草やその辺の食べられるものをむしり取り、休みの時間には昆虫採集や撮影、或いは解剖や骨格標本作りに邁進し、ひっそりとブログ上で公開するというような、一般的な方々から見ればみじめで目も当てられないようなLIFEを送っていくのではないかという未来設計がされている。まあ、ドクター進学を目指す人間が口にしてはならないようなみじめっぷりだが・・・


さて朝方はずいぶん寒かったのだが風もなく天気が良かったこと、土曜日ということもあり研究所が静かだったこともあって軽く散歩をする。すると結構鳥を見かけ、或いは鳴き声が聞こえてきていい気分になった。


見づらいが中央付近にカケスがいる。


同じく見づらいがアカゲラがいる。つくばでは結局1年近く見ていないが、声を聞くとつい最近聞いたような気もする。
このほか、コガラやツグミ、モズのような感じがしたがおそらく違う鳥を見る。鳴き声がきれいな鳥がいたようだが、あれはなんだったのか。ガビチョウのさえずりの一場面のように思えたが・・・真似をしているもとの鳥なのかもしれない。

さて散歩を終えた後は飼育しているつもりが次々に死んでいくカワゲラ幼虫の同定を行っていく。


昨日紹介したカワゲラと非常によく似ているが、こう見えても科レベルで違うグループのものである。これはカワゲラ科Perlidaeはオオヤマカワゲラ属Oyamiaの幼虫である。昨日の写真と見比べてみると、肢の隙間からカビのようなふさふさしたものが見えていることにお気づきになられよう。これはカビではなくて鰓である。この鰓があるかどうかはカワゲラの幼虫を同定するのに重要なのだが、今でこそこうやって偉そうに書けるものの、半年前はカワゲラのことなど何にもわからず、去年の夏に参加した実習でもカワゲラの分類はやりたくないなあと思っていたほどである。
こうやって振り返ってみると中々不思議なことだなあと感じるが、興味のないことに突然目覚め(カワゲラの場合はテーマが与えられたのだが)るということは、大学生活始まって以来ずっとやってきたことではないか。そのうち、料理にも目覚めるかもしれない。

午後は昨日染色した固定卵を顕微鏡下で観察してみて失敗(=卵が死んでいた)したことが分かり、それからBOSSに命じられて卵のサイズを測ってみたり(推測していたサイズよりもずいぶん小さく、これは初心者の610にとって攻略の難しい素材であることが判明)、引き続き卵を固定してみたり、結構疲れる。
ちなみにゴキブリの研究をしている先輩から卵を見せてもらったのだが、驚くべきことに肉眼で見えるのである。裏返して言えばカワゲラの卵が肉眼ではかろうじて確認できる程度の小ささであるわけで、ゴキブリくらいあればありとあらゆることが楽そうに思えてしまう。もちろんカワゲラでももう少し大きい卵を産むグループもあるにはあるのだが、そういったものは既に研究がなされているとか、入手が難しいといった困難を共にしている。まあ実験操作に慣れることを考えれば、研究されているものを使う方が理に適っているだろう…

昼ごろこちらに移ってきた同期の方と挨拶を交わす。彼は所属する研究室が違うが、寮にいるとあまりそういうことが気にならなくなるはずである。同期が来ることでもう少し居心地がよくなってくれるとよいが…

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明日の午前中には買い物に連れて行ってもらう予定です。レンジで簡単に調理できるキットを支援してもらったので、こんにゃくを齧る生活からしばしの脱却を図ります。
※610は大学3年になるまで、一線を超えない程度の調理をしていました。  


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2014年04月04日

これでも前進しているのだろうか

今朝は6時半起床。どうしようもなく眠いのだが、寝不足なのだろうか。自分の精神的な余裕を得るためには、少なくともこの位の時間には起きていたいのだが、なかなか厳しい。いつかダウンしてしまうのではなかろうか…
とりあえず8時に出発し、しばらくは人のいない実験室で休んでから活動を始める。本当は自室の布団で眠気が取れるまで寝られればよいのだが、車が無いし自転車も使えない、おまけに雨が降っている現状では、部屋で寝過ごそうものなら1人寮に取り残されてしまう恐れがある。もちろん先輩に懇願すれば迎えに来てもらえるだろうが、それは他人を自分の足として隷属させることに等しいわけだから許されることではない。だから逆転の発想が必要になるわけである。


昨日渓流で採集したカワゲラの幼虫はばたばたと死んでしまう。低温と水流が保障されない環境には滅法弱いようだ。


ちなみにこのカワゲラを同定してみると、アミメカワゲラ科のコグサヒメカワゲラ属Ostrovus sp.の一種であるようだ。残念ながら大したことが分からない。比較的体サイズが大きく数もそこそこ採集できたので、精査すれば種名が分かるかもしれない。

午後にはこれからの研究に必須な実験プロトコルの概要を先輩からうかがう。昆虫の卵なんて大したこと無さそうに思われるかもしれないし、610もそう思っていたのだが、舐めてかかると何も見えてこないのである。然るべき方法で固定・染色を施し、きちんと観察ができるような手はずを整えなければならず、そのアウトラインをざっくりと説明していただき、一部実践もしていただく。
その後染色の下準備の作業を引き継ぎつつ、つくばにいるときに固定したクロカワゲラの卵を固定液から出して洗浄する作業をひたすら行う。この固定卵はまっとうな方法を教わる前に適当に行ったものであり、その事実を知った時には少しがっかりしたのだが(結構慎重に大事に行ったのに、もしかしたら研究に使えないことをやっていたのだろうか…)、固体の上なら際限なく移動可能なクロカワゲラたちのうごめく飼育容器の中から、どうやって彼らの脱走を気にせず採卵ができるかという難題を、まともな設備なんて何にもないつくばの宿舎の中で会得できたのだから、この作業は巨視的に見れば無駄ではなかっただろう。むしろ、この時なんちゃって固定をした卵が実はきちんと固定されていたとしたら、そのことを喜ぶべきである。

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今日の菅平では日中ちらっと雪が降りました。今晩から明日の朝にかけて冷え込むそうです。
明日には本日処理をした染色卵の観察を行う予定で、きちんと卵が発生しているのかどうか確かめることができるはずですが、染色の手順で失敗をしているような気がして、そもそも確認ができないのではという恐怖に駆られています。尤もこの恐れは近視眼的なもので、今できなくても卒研に響くことは無いでしょうが…  続きを読む


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2014年04月03日

まだ成虫は出てこない

昨日とんでもないやどけんメーリスが回ってきた。何とサケガシラという深海魚が手に入ったので2014年度第1回目の解剖パーティーを行うのだという。我らが下平高原は標高1610mに聳えながらも眼前に鍋蓋湾が湛えている幻想の世界なわけだから、サーモンヘッドの1匹や2匹見つけるのはたやすいはずだが、現実に立ち返ればここは海なし県の高原地帯。海岸でこころを揺さぶるような出逢いができない世界なのである。何ともうらやましい限りだ。
こちらのテンションがなぜか上がってしまったので、おそらくこのブログを観ていないであろうやどけんメンバーに向けて私の願いを叫んでおくことで鎮静を図りたい。ぜひ口を伸ばして遊び、浮き袋が退化的なことを確かめ、胃の内容物を精査し(もしかしたら謎の深海生物が入っているかもしれない→要保存・同定)、メスであれば卵が無いか調べてみよう。
胃内容物や生殖系の知見はおそらく乏しいだろうし、何よりリアルで観察した人はとても少ないだろうので、開拓者になった気分で剖検を楽しむのがよいだろう。あとは書くまでもないが、味見をして本当にまずいのかどうか確かめてもらいたい。

さてサケガシラについて論文はないかと調べてみたらこんなものが引っ掛かった。文量が多くて読んでいないし古い論文だが、解剖には有用かもしれない。骨作りは丁寧な除肉と綿密な記録を残すことで何とかなるかもしれないが、カンを頼るしかないだろうなあ…

今朝は7時起床。炊飯器のコードが外れてしまっており朝食が食べられない事態に陥る。仕方がないのでお急ぎ炊飯モードにしてから部屋に戻って頭を悩ませる。
http://anond.hatelabo.jp/20140402211233 ホワイト企業は世界が違った
http://anond.hatelabo.jp/20140402212925 幸せゲームが大嫌い
とりあえず後者について、幸せゲームであれ不幸せゲームであれ、こういった話題に終始するような同窓会には行きたくないと強く思うのであった。というか生き物の話題が出せないような場所ではどんなところであれ無理なんじゃないかとすら思う始末である。もちろん、610に気を遣って話題を提供させるような配慮も全く必要が無いので、ことを簡単に済ませるのであれば、私が同窓会の出席をすべてキャンセルするだけでよいのである。
※ちなみにやどけんの集まりですら映画やアニメの話になると何も話せなくなる程度に問題を抱えているので、将来の会合でこういう話がメインになるようであったら610は参加しなくなるかもしれない。もちろん、幸せな家庭とか財産・地位の競い合いになったら直ちに参加を中止するだろう。
そういう話題が出てきたときに「幸せな家庭とは何か? 財産や地位を得ることは幸福なのか? どうしてそういうものを手に入れたときに誇りを持とうとするのか?」などと尋ねられるような空気であってほしいのだが…



さて自転車通学の方は坂道を前にして敗北。呼吸が荒くなると、ここが標高1300メートル前後の高地であるがために思うように空気を吸い込めないような感じに襲われ無理は禁物だと悟り、ゆっくり押して歩いていく。そんなに遠くはないし、本学と違って始業時間が決まっている訳でもないので焦ることは無い。
毎日のように卵を産み続けるミヤモトクロカワゲラの採卵をしていたらBOSSから突然「今日、採集に行くぞ!」という指令が伝達されてウキウキ気分が止まらなくなる。出かける場所の地図を調べたりして高いテンションを維持したままお昼過ぎに出発。しかしながら最初に訪れたところではそこそこサイズの大きいアミメカワゲラやカワゲラの幼虫、それから腹部に吸盤のような構造を持つアミカ幼虫などが採れたものの、肝心の成虫は諦めて別の場所に移ろうかとしていた時に仕舞おうとしていた網の上に歩いているものが見つかったのみであった。移った場所では幼虫すらなかなか見つからず非常に悲惨であった。ご機嫌を損ねた師匠から「お前は3週間蟄居だな」と宣言されてしまう(大体こういう言葉は冗談だと受け取っているが、もちろん採集に出かけて成果が出ず時間を浪費するのであれば、その分勉強した方が良いのは当然である)。
帰「菅」後、幼虫の飼育についてどうすればいいか相談したところ、水を冷やす装置を使えばよいだろうと提案され、さっそくカタログをみてよさそうなものが選択された。個人では手が出ないような高価な装置が比較的容易に手に入る環境が研究室なんだなあと実感したのであった。

帰るころには雨もぱらつき、おまけに霧が出てきていたので非常にスリルあふれる自転車移動となったのだが、行きと違って帰りは殆どペダルをこがずに済むので至極快適であった。残念ながら空気入れが壊れていたので、しばらく自転車の利用はガマンすることになるが、そのうち実家から折り畳み自転車antを持込み、行きは自転車ごと誰かの車に乗せて行ってもらい、帰りは自転車に乗って戻るような素敵なSugadaiLIFEを送れたらよいなあ…

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解剖パーティーは明日開かれるようなので、610もこれに対抗して(余裕があれば)ミヤモトクロカワゲラの解剖を行おうかと考えています。  続きを読む


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2014年04月02日

印刷可能枚数∞枚の喜び

今朝は6時45分ごろ起床。早起きをしてロシア語なりヘブライ語なりアイスランド語なりを勉強したいのだが、今のところそんな余裕がないようだ。やはり12時間近く研究室にいて、覚えるべきことがたくさんあるということが疲労をもたらすのだろう。

さて本日はカワゲラの卵を死なせずに水中で保存する方法を考えるのだがいいアイデアが出ずに数時間を費やし、続いてプリンタの設定に戸惑った更に数時間が消え去りお昼を迎え、午後は午後で眠気に苛まれて数十分が夢のまにまに飛び去り、昨日固定した卵の洗浄方法を伺い実践することで終了と相成った。結構間延びしている時間が多く集中力が持たなかったのだが、おそらくこういう時間を駆使して論文や教科書を読んで知識をつけていかねばならないのだろうなあ…

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明日は自転車通学を試みますが、空気入れが寮にはないにもかかわらず、タイヤの空気がかなり抜けているので絶望しか感じられません。  


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2014年04月01日

山の生活への順応始まる

今朝も6時40分起床。あまり早起きをしていないという自覚があるものの、朝食を摂るべくキッチンに乗り込むのは610が一番最初であるらしい。

・係決め→610は特に関係なし。

・卵の固定・洗浄→先輩に手ほどきを受けながらやり方を教わる。

・ゴミ出し→昨年度のゴミ出し表を見ていたせいで日時を間違えてしまった。

・さんぽ→せっかく菅平にいるのだし、少しでも長くフィールドに出た方が良いだろう。そういうわけで昼食後に散歩をしてみたところ、キジを発見。


結構近寄れたのだが、手前に土盛りがあるからなのか、彼はとても呑気に散歩している。


太陽光線がいい具合にキジの姿を照らしていたので撮影会を始めたのだが、やはり双眼鏡を組み合わせて頑張ってもこの程度が限界であり悔やまれる。望遠のきくデジタル一眼レフであればさぞかし良い絵になったことだろう。

・春のカワゲラ探し→BOSSに「いい天気だし、カワゲラさがして来い!」と言われたのでスノーシューを履き雪の中へ出撃。センター内にある沢へ下り、アミメカワゲラやオナシカワゲラが出ていないかどうかチェックしていくのだが、雪のせいで沢へ降りる道が分からない。かくなる上は、雪が溶けた斜面を駆け下りるのみである。


写真の中央左側に地面が露出しているが、ここをつたって沢へ降りる。しかし見つかるカワゲラは例によってミヤモトクロカワゲラのみだし、飛んでいるのはハエばかり。まだ早かったらしいが、まあ慌てることは無かろう。


雪解け水を豪快に流す滝。夏場に来たときはもっとちょろちょろしていただけに圧倒される(ちなみにこの滝は厳寒期には氷結する)。


沢でクマよけ対策として『親しらず子しらず』を熱唱し、でも歌ったところで沢の音でかき消されて意味が無いだろうな、そういえば哺乳類に目覚めてからクマに対する怖さがガタ落ちしたな、これは危険だなと思っていると目の前に黄色い小鳥が現れる。キセキレイだ。かつて宝篋山で一瞬ちらりと見ただけであったので、ここでじっくり見られたのは非常に嬉しい。


そして日当たりのよい小路ではエルタテハが飛び交っていた。つくばではこういう所で目にするのはキタテハとかルリタテハと相場が決まっていただけに、平然と高標高棲息種が飛んでいるのを見るとものすごく不思議な感覚にとらわれる。ああ、今自分は「今までの非日常」から「これからの日常」へのイニシエーションの真最中なんだろうなあと強く感じる。さすれば、そのうちキタテハとかムラサキシジミを見ることが非日常になってしまうのだろうか。それもそれで面白い。

順番は順序するが、この後カワゲラの卵の「お作法」を学んだ。

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エイプリルフールネタはいろいろ考えていましたが、編集する余裕が無いので放棄します。「車がスリップしてダムに転落」など十分リアリティを獲得できそうなネタですが、自分が事故に遭ったとなるとブログに書けないですからねえ…
明日は未定です固定したカワゲラの卵が本当にしっかり固定できているのか確認することになると思います。  


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