2014年04月09日

カワゲラばかりいじり論文や教科書を顧みない日々

昨日は蛍光染色を施したカワゲラの卵の観察を行ってみた。固定にムラがあり蛍光下で見ても真っ暗な卵があるかと思えば、きちんと胚がある位置が青白く染まっている卵も見つかり、暗くて寒い暗室の中でひとり感動する(写真をお見せしたくなるのだが、研究のデータとなり得るものなので無闇に出すべきではないということで自粛…)。
お昼時に、朝方N君から教えてもらったポイントに出向き撮影を行う。


1つ目の被写体は、この写真のどこかに潜んでいる。分かる方にはそう苦労せず見出すことができるかもしれないが、予備知識なしでは難しいだろう。ということで拡大写真を紹介。


写真の中央右側あたりに、1対の触角らしき構造があるのにお気づきになればその正体がなんとなく見えてくるのではなかろうか。この擬態の名手はコマダラウスバカゲロウという、俗にいうアリジゴクの仲間の幼虫である。砂の中に巣穴をほって待ち構えるのが一般的なアリジゴクにおいて、こいつは相当な異端児らしい。


それからもう一つ、好雪性粘菌のルリホコリというものを教えてもらう。雪の近くで発生するようで、出初めのものは瑠璃色の金属光沢を放つ。菅平に来てからはもっぱら鳥と足跡を追ってばかりおり、こういった生き物たちに視線を注がずにいたので、これではいけないなあと再確認。

午後は普通の生物顕微鏡で卵の撮影をしたり、卵に穴をあける練習をしたり、卵の周りにまとわりつく粘着物質を効率的に取り除く方法の実験をしてみたりした。先輩方からすれば610は相当なハイペースらしいのだが、その原因は私にではなくカワゲラにある。彼らが季節を問わず出現し、一度に数百個の卵を産んでしまうから、実験材料が容易く手に入ってしまうのである。材料に余裕があるので色々な可能性を模索できるわけで、そういうものを逐一試すことは必要不可欠なわけだが、こなすべき量がかなり多いのである。粘着物質もそうだが、卵に最適な水温・固定液・固定時間・染色法はいかほどか、色々なアドバイスを受けながら見出していく必要がある。
※実験方法で手いっぱいだが、ここに教科書・論文読解とか大学院入試、TOEIC、はたまたロシア・アイスランド・聖書ヘブライ語の学習の時間を組み込んでいかねばならない。どう考えても一寸先は死である。


この出だしからエンジン全開の卒研生活は明らかに正常な状態ではなく、十二指腸潰瘍という病状―つくばにいたころから症状は出ていたので関係はないと言えば無いのだが―を患っていることからも分かるように体にガタがきてすらいるわけである。にもかかわらず激しい生活を続けてしまうのは、ひとえにカワゲラのせいであろう。
う~む、ここはひとつLIFEとは何かを考えて、LIFEとカワゲラとを切り離す必要があるのだろう。こののめり込み過ぎている感覚は周りを見ていないだけでなく自分をも顧みていない感じがして非常に危ない。

というわけで、本日は午前中に電子顕微鏡観察を行えたら、ハネカ観察のリベンジに行ける可能性があります。
まあここでもカワゲラの採集をすると思いますが…というか菅平にはいないカワゲラがいるので採らなければなりません…  


Posted by Impulse610 at 06:10Comments(4)