2014年03月24日

つくばの夜も今日で見納め

今朝は7時半に起床。冷蔵庫に眠っていた昆虫標本の処理を行いつつ、荷造りの追い込みをかけるのだが、段ボールが足りない予感…
上田行きの高速バスのチケットを入手したり引っ越し諸費用を引き下ろしたりしてから宝篋山へ向かう。


これがつくば市民としての最後の訪問になってしまうのだろうか…


610が2011年4月7日に足を踏み入れ感銘を受けたサラサの湿地ではトウダイグサのような花が咲いていた。


この、木が生えていながら足元がぬかるんでいる空間はつくばに来てほやほやの610にとってはミスマッチな光景に移ったのだが、次第にここに魅かれ、以後3年間に渡り通い詰めることになったのだった。


サラサの湿地の奥から不思議な鳴き声が聞こえたので正体を確かめに行ったところ、ヒキガエルが目に入った。恥ずかしながら、「自称」宝篋山マスターたる610選手、宝篋山にてヒキガエルを見たのはこれが初めてである。この個体は卵を産んでいたのかよく分からないのだが変な格好をしており、じっとしていたので最初は死んでいたように思えた。それからふと足元を見たところ何者かによって食われたヒキガエルの残骸が見つかった。結構骨がしっかり残っているような感じだったので魅かれたのだが、ここはぐっとガマン。
ほどなくしてMr.FishとMr.FIsh Tank両氏と合流。正体不明の鳥が鳴いているとの報告を受けたが、610にも分からない。冬鳥から鳥に対する興味が高まった610は、残念ながら春からは興味が鳥から虫に移ってしまっていたので未知の分野でもある。ぜひ彼らに解明してもらいたい。


ビロードツリアブが出現し始めたようだ。つまりつくばには春が訪れていることになる。モンシロチョウかツマキチョウか区別は出来なかったがシロチョウも飛んでおり胸の高まりを感じたのだが、今感じているのは去年や一昨年のそれとは趣を異にするものだというのが悲しい。


行きには気づかなかったイノシシのあしあとを発見。結局宝篋山では幾度となくあしあとを見てはいたものの、あしあとの正体に出会うことが無かったのが心残りである。
嬉しいことに、ここでかつてなくしたメモ帳と再開する。これはロシアで利用したものでもあったので無くしたことに絶望していたのだが、もう利用するのは難しい状態とは言え見つかったことに運の良さを感じる。


お2人と別れて沢に向かうが、入り口でバナナムシことツマグロオオヨコバイを発見。私が東京にいた小学生時代には、校庭でこの虫が見つかるとバナナムシがいたぞ!と言い合っていたものだが、果たしてこのバナナムシという呼称、いったいどこで通用するのだろう。


先ほど沢で新歓の下見をしていた2人から、カワゲラのような虫がいたと報告を受けていたのだが、翅に模様がついているように見えた。そんな謎の虫が簡単に見つかったのだが…今までよく見かけていたユビオナシカワゲラとは異なる種類のようだ。翅芽が発達したアミメカワゲラの幼虫も見つけたと聞いたので、そうするとこれはアミメカワゲラ科の成虫だろうか・・・と思ったが、よく見ると尾が無い。それなら、ここで採集した幼虫から推定すればフサオナシカワゲラ属の成虫になりそうだ。ただ、検索表を段ボールにしまい込んでしまったので何とも言えない。

ところでこのカワゲラに限らず、沢を見ているととてもたくさんのカワゲラがいることに気が付いた。上の写真を撮ったところだけで4匹も見つかったのである。明日にはつくばから去らねばならぬ身とはいえども、こんなに豊富な研究材料を前にしてとっとと消え去るわけにはいかない。興奮しながらカワゲラを追いかけ沢を駆け上がりつつ、今日で最後と決めていた宝篋山訪問をもう一度行うべきであろうと結論付けてしまった。
2月から出現していたユビオナシカワゲラと併せて20匹くらいは確認し、15匹くらいは捕まえられただろうか。採集道具は全部仕舞ってしまったので指でつまむしかないのだが、カワゲラは漢字で襀(示+責)翅目と書くように、羽を背中の上で重ねるように折り畳むので、とてもつまみづらい。その上平べったい体で素早く歩き回るし、時には飛び立つし(気が動転したのか、沢に飛び込むことも)、手の上でもタッパーでもお構いなしによじ登ってくるので、素手採集論者には熟練が要求される。

宝篋山から戻ってから荷造りの最後の追い込みに入る。解剖鍋と長靴があぶれて悩んでいたのだが、手ごろな段ボールを発見することで窮地を逸する。しかし・・・タヌキ・ウサギ・トビ・リュウキュウイノシシの骨については有効な方法が思いつかず、諦めるつもりである。もちろん捨てるわけではなくて、やどけんの新歓シーズンには私が所有するより部室で誰もが閲覧可能な状態にしておいた方が有効活用できるだろうという論理をでっちあげる、つまり部室に一時保管するのである。610が自由に動けるようになる夏ごろに回収し、菅平で組み立て、雙峰祭の時に展示するような感じなら問題ないだろうか。

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さて明日はいよいよ退去日です。およそ3年間生活したつくばから立ち去ります。まだ身分上筑波大生ではあるのですが、もうつくばに住むことが無いことを思うと非常に悲しいです。何がそうさせるのでしょうか。3年間親しんだ宿舎や宝篋山、或いはやどけんからの離別がそう仕向けるのでしょうか…
まず早朝には退去の最終難関である冷蔵庫の処理を行い、掃除をして退去完了した後は何と宝篋山でカワゲラ採りを行うつもりです。宿舎入居2日目にして宝篋山を知った「自称」宝篋山マスターの最後の腕の見せ所です。
宝篋山に別れの挨拶を告げてから、六郷へ戻ります。なかなか肉体的にきつそうだ…
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Posted by Impulse610 at 18:10Comments(4)