2014年12月31日

河川敷で鳥と虫を探す人生

さて昨晩は19時半ごろに出発.碓氷バイパスを超え国道254号線を順調に走っていたように思えたのだが,小林交差点にて人生の方向性と指針を見失って変な道に入り込んでしまい,このせいで1時間ほど迷ってしまった.ろくでもない人生を悲観してもどうしようもなく,怒りの途中休憩をはさんで都内に入って交通量(都会人からすれば少ない方だと思うのだが)と信号の多さに発狂寸前になる.交差点に近づくたびに赤信号で止められることがここまでストレスフルなものなのかということを身をもって痛感する.ただでさえ交通量の少ないだろう夜間に移動したい610にとって,この区間を白昼に走ることは精神衛生的な危機をもたらしてくれよう,結局実家には1時半に到着.迷走によるロスを差し引くと,菅平からおよそ5時間かかったことになる.距離的にはつくばと大差ないのだが,こちらは4時間で移動できることを思うと,都内の信号の多さが表定速度を押し下げているのだろう.それにしても東京はこんなに暖かいところだったのか.しかもなんだこの湿気は.最高気温が氷点下であり空気中の水分も凍りつく菅平とはえらい違いである.長年同じような環境にいるとこういう冬が当たり前だと思っていたのだが,極端な場所に住むことで比較検討できるようになるのは面白いことである.帰宅後直ちに就寝し明日の鳥見に備える.


さて今朝は7時起床.さっそく土手に出かける.


安定のオナガガモ.


菅平では見かけない鳥の一つ,スズメ.ムクドリやドバトも同様.


翼をばたつかせるキンクロハジロ.


意気揚々と泳ぐカワウ.やどけんの部室で標本化されているようだが,上手くいっているだろうか.


つくばや上田城ではありふれているマガモであるが,六郷土手ではあまり見かけない.もしかしたら初見かもしれない.


夫婦漫才をしているのか?






冬の?六郷干潟ではお馴染みの存在,セイタカシギ.水辺の貴婦人と呼ばれることもあるのだが,実際にそう見えるのは気品あふれるポーズをしている時に限るようで,時に長すぎる脚がとても不自然に見える.


無数にいるユリカモメ(たぶん).菅平ではまず見かけないのだが,東京に住んでいた頃,鳥に全く興味の無かった頃からありふれていた存在であったためか観察意欲が湧かない.


最期に3羽で行動していたシギのなかま.以前にアオアシシギらしきものを見ているのだが,それに比べると小さい.シギ類に関しては先に出たセイタカシギとアオアシシギ以外は未知なのでこの場ではどうしようもなかったのだが,帰って調べてみると,くちばしの反り具合,目の周りの模様など,ハマシギによく似ている.きっとハマシギなのだろう.

さてこの辺でカメラの電池が少なくなってきたので鳥見は終了.本当は大師橋ぐらいまで下ってホシハジロやスズガモを見たかったのだが明日にでもやるとしよう.次に毎年冬でもバッタ類の観察が楽しめる某法面へ移動.


ほどなくイナゴを発見.まだ元気そうで,きっと年を越すだろう.


この目を疑いたくなる光景はいかがなものか.トノサマバッタ自体は年越し個体を何匹も見ており,中には2月にも元気にやっているものすら観察しているのだが,この時期に交尾をしていた個体を見た記憶がない.ひょっとしたら忘れているだけかもしれないが,いきなり見つけたのがこいつらであったことからたまげた.まあこの辺りは暖かいし,今から繁殖を行っても間に合うのだろう.


もう一種お馴染みの種類といえばホシササキリ.ここでは成虫と幼虫が同所的に見られる.本日は生憎成虫は見つからなかったが,体サイズの異なる幼虫が数匹見られた.と言うことは大晦日でも現在進行形で成長を続けていることになる.彼らの越冬形態は存在しないのだろうか,あるいはこの場所が特異的なだけで,幼虫たちはそう永く生きられないのだろうか.

ちなみにこの場所の存在を知ったのは浪人時代のセンター試験直前期(2010年12月)のことである.精神的に荒んでいた在りし日の610は,心の安寧を図るために土手で散歩することが日課となっていたのだが,その時偶然ホシササキリを見つけたのがきっかけである.科学的なアプローチは何一つ取っていないが,恐らくここは日当たりがよく冬でもそこそこの地温を保っているのだろう.その暖かさのおかげで,本来は死んでいておかしくないバッタたちが生き残っていたり,生まれるはずのない卵が孵化して幼虫が育っているのであろう.
そういうことを科学的に証明するにはどうすればいいのだろうか.もちろん,一番手っ取り早いのは論文を探すことである.おそらく誰かが既に研究していると思うのだが,いちおうそういうことが知られていない前提で話を進めよう.まず対照区(日当たりの悪いところ,日当たりはよいが風の影響を受けるところなど)を決めて,そこでバッタをつかまえ,各対照区に各々のバッタを蒔く.彼らがいつまで生きるのかを調べる.それだけでなく,対照区そのもののデータ(地温,植物の被度や構成種,土壌の乾燥具合,積雪があった場合の積雪深,草刈りなど攪乱の有無,造成年代など)も集める.その結果,我が法面において2月まで生き残ったトノサマバッタがいたが,他の場所では年を越したものはいなかったなどと言う結果が得られれば,長生きする要因が彼らではなく法面にある,といえるだろうか.もちろん,蒔くとはいっても適切にデザインした(逃げられたり他の個体が入ったりしない,天井に貼りつくなどいるべき場所にいない状態が起らない)飼育容器を設置して,その中に蒔かないと確かめられない.私は人生の問題があって確かめられないのだが,誰か意欲のある若い人が取り組んでくれないものかとひそかに期待している.
一つ問題があるとすれば,この法面がとても人の目につきやすいことである.実験装置がゴミと勘違いされて捨てられるとか,換金されるとか,壊されるという可能性を否定できない.そうなると代替地を探す必要があるが,臨海部には開発されずに放置されている荒地がたくさんありそうである.

久々に地元のいきものに触れたおかげでテンションが上がっているようで,柄にもなくアツくなってしまった.というわけで帰宅後ひたすらブログに文字を叩き込んでいたのだが,こんなことをしているとカワゲラから筆舌に尽くしがたい隷属を課されかねない.昼食後は大人しくカワゲラに向き合うことにする.

なお,夕方には高校の後輩である I 氏が六郷土手を訪問しプチ鳥見を行う.基本的に朝見たものと顔ぶれは変わらないが,ユリカモメの中に大きなカモメがいた.彼のオーストラリアでの恵まれたホームステイ生活の様子を伺い大変羨ましくなる.

~・~・~

本日は大晦日と言うこともあり, 1 年を振り返ってみたかったのですが,無理でした.そうなってしまったのもお分かり頂けると思いますが・・・

・菅平でカワゲラに隷属

ほかに振り返るべきことがありましょうか.実際にはいろいろなイベントがありましたが,そのすべてはカワゲラを前にして,あまりに無力でした.きっとこの人生はあと 4 年は続くことになるでしょう.なので,今後しばらくは「 1 年を振り返ること」「今年 1 年をどう過ごすか」といった事柄を考える作業はスキップします.

明日は理想的には,自宅周辺に 6 店もあるブックオフにアクセスして徹底的に本を買い漁りたいのですが,果たしてカワゲラがそれを許してくれるのでしょうか.  続きを読む


Posted by Impulse610 at 18:10Comments(0)