2015年04月08日

ぜんぶ雪のせいだ。~雪に敗北した旧規格軽自動車~

今朝は4時起床,予定より30分ほど寝坊したこともありやや焦り気味に寮を出た瞬間に降雪の事実に直面.センターで朝食を済ませ,意気揚々と出発したのはいいが国道へのショートカットルートでかつて経験した冷や汗もののスリップを体験.エンジンブレーキだけでこのすべり具合,ただ事ではない.しかしその時はまだこの判断に自信を持てず,のちに迫る悲劇を食い止めるには至らなかった.
峠道は順調にくだり,市街地へ向けて降りていく其の序章,見通しの良い一本道の下り坂で人生の歴史が動いた.もはや詳細な記憶は定かではないのだが,40~50キロくらいで走っていたところ,突然?車がスリップを始めた.制動が効かずどんどん左側に流れていく車.さっきは冷や汗をかいたものの事故に至ることは無かったのだが,どうやら今回はそういうわけにはいかなそうである.どうすることもできず,滑りゆく車に人生を託したわけだが,ほどなく看板のような構造物に運転席側のドアがドカンとぶつかり,進行方向とは反対側を向く感じに車が止まった.この時右腕や頭も強く打ったようで,一瞬記憶が飛んだような気もして,ああこれが夢であってほしいことよと願ったものであったが,これが目を背けられない現実であった.


ドアは大きく歪み,サイドミラーは硝子もろとも消えてしまった.フロントガラスはすっぽり取れてしまいもはや笑えるレベルである.外から見た瞬間に修理は無理だろうなあと短いカーライフを回顧し他のもつかの間,こういう時の行動に慣れているわけではないのでとりあえず保険会社に連絡を入れる.レッカー車がやってくるらしいので,そのあとに警察に連絡.待っている間にも,1台の車がレッカー車に載せられていくのを確認.今日はそういう日なんだろうなあと思っても今となってはどうしようもない.警察の方との立会いを終え,レッカー車に火キットてもらったところでようやく一息いれることができ,ここでBOSSや両親に連絡を入れる.BOSSにはお忙しいところ私や荷物のピックアップや病院への付き添いなどもしていただき本当にご迷惑をおかけした気分になるが,360度スリップした逸話を伺うなど,雪のトラブルは誰でも経験することである,今回は不幸中の幸いである,などとのお勉強をすることにもなった.
さて怪我の方だが,ガラスで指を切ったのと,ぶつかった時の衝撃で右上半身と頭に打撲を受けたものの,深刻な状態ではないようである.風が吹けば倒れそうになり,一度正面衝突でもしたらすぐ天国に行けそうな我が車の,最期の活躍に救われたのかもしれない.8か月しか乗れず,しかもいつまでも何らかのトラブルを抱えている困りものではあったのだが,,失ってしまうと悲しいものがある.


ああ,これがこの車にとって,最初で最後の(昼の)宝篋山だったのか...


ちなみにこちらは遺影である.

こうしてお昼前に菅平に戻ってくることができ,保険会社や旅行先のあれこれの手続きに追われ,それがひと段落してからなんと研究室HPの編集をしたり,水曜日恒例の英会話に参加して20時前までラボで過ごしていたのである.我ながら事故を起こした日に平然と日常生活を送っていることに唖然としたものだが,これにはそれなりの訳もある.おそらく事故を起こした直後ということもあり,あまり傷みが出ていないのかもしれない.なら,活動ができるうちは活動をしておくべきではないか.カワゲラの隷属により思考体系も随分と蝕まれてしまった哀れな人生ともいえるが…

終始一貫して冷静でいることに自分でも変な感じがしたものだが,そんな中でもただ一つ,どうしようもなく虚しい気分になったイベントがある.それは採集道具の荷解きをしていた時に襲ってきた.昨日あんなに張り切って準備した荷物を,全く使わないで今戻しているこの現実はどういうことなのか.本当なら今頃はレンタカーを手に,チビノギカワゲラのタイプロカリティで探索をしている最中ではなかったのか.ああ,カワゲラの奴隷としての生きざまを奪われたこの私はなんてみじめなんだろうか...

あと一つ興味深い点としては,上に挙げた自己画像をtwitterにアップしてみたところ,やはりネタとして消費されているような印象を感じたのであった.もちろん私の方でも今回の事故は我が人生におけるトップクラスのネタであることを自認しているし,だからこそツイートしているのであって,そのことに嫌悪感は無いわけだが,率直に言って,お気に入りをしたりリツイートをしたりした人の中でこの出来事のリアリティをどれだけ感じているのだろうかな,くらいには思う所があった.twitterもこのブログも見ている人がどれくらいいるかは知らないが,何かのご縁もあるだろうから,悪いことは言わない,他人に最小限度の迷惑をかける覚悟で,一度雪道でスリップしてみることをお勧めしたい.制御不能に陥った時の絶望感,ぶつかった時の衝撃,変わり果てた車の姿,破たんする計画…知らないに越したことは無いかもしれないが,知ってみると味わえる境地というものも有るようだ.

~・~・~

明日はおそらく体中が痛くなって動けなくなりそうなので,大人しく休みます.研究が停滞してしまいますが,不完全なコンディションで進める研究に意味があるのかを考えると,焦っても仕方ありません.え,論文は体が痛くても読めるって? その通りですね!

ちなみに,予定していた京都採集旅行についてですが,来週やり直ししようと思えばできますが,来年に持ち越しするつもりです.1年待たなきゃいけないのが辛いところですが,もはやどうしようもありませんね...
  


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2015年04月07日

春と冬の往復

4月6日

0時15分ごろ出発し4時半ごろつくばに到着.前回と違って鳥居峠で積雪に見舞われることもなく,また交通量も少なく快適なドライブを楽しめた.
それから満足のいかない仮眠をしてから宝篋山へ向かう.院死が終わった夜に訪れてはいるものの,日中に訪れるのはおよそ1年ぶりだろうか.懐かしの経路をたどり生き物を探す.収獲としては宝篋山で初めてアカゲラの観察ができたことだろうか.あとはイボタガの翅も見出せた.そして近頃創成されたという謎のオブジェを見て芸術を思う.哀しいことにどこかに吸虫管を落としてきてしまったらしいが,山道を再び戻るだけの気力は無く諦めることにする.中にはカワゲラが何匹か入っていたのだが,そういう人生であったと諦めてくれるだろうか(中には脱獄に成功したものもいるかもしれない).
山から戻って大学近くの喫茶店に向かい,常陽新聞の方としばし歓談.担当の記者と会うのは実は初めてのことである.ちなみにここで話したことをもとに,私の紹介記事が書かれてしまうらしい.興味がある方は是非常陽新聞をご購入いただきたい.
その後入学式に向かう.作業服姿でサンダルを履いていたせいかホールに通してもらえずスクリーン越しの参加となるが,カメラがいい位置にあるせいか,IMAGINE THE FUTURE. の素晴らしい鑑賞に成功した.この後すぐに入学者ガイダンスがあったようだが,眠かったこと,何より存在を知らなかったことにより,終了後直ちに退席し車で昼寝.そして大学院のガイダンスを受け,歓迎会に少し顔を出し,その後夕食を済ませ21時に帰菅開始.途中2件の大型アウトレットモールに立ち寄り,後者で2枚の秘封CDを手に入れ(後に1枚はすでに持っていたことに気が付く),翌3時前に帰菅.

4月7日
今朝は11時前に起床.行きと違って帰りの運転はなかなか苦行であることをようやく思い知ったのだが,もう少し常識的な運転を考える時期なのかもしれない.12時過ぎにセンターに向かったが,大したことができるとも思えなかったので,主に明日からの準備をして過ごす.スーツケースが採集道具だけでいっぱいになろうとしていて焦りを感じるが致し方ない.
さて菅平は日中でも氷点下の冷え込みを見せ,木々には霧氷が育つ始末であった.19時帰寮.

~・~・~

ということで明日から10日まで京都市内に旅行に行ってまいります.ここで旅行とは卒業旅行とか慰安旅行といった観光要素の皆無な,チビノギカワゲラの採集だけを目的としたストイックの極致を意味します(宿を含め,市街地には殆ど滞在しません).採集できたらできたで黒い悪魔並みの隷属が待っているし,採れなかったら採れなかったで日程や旅費を失うだけに終わるという,どちらに転んでも闇しか待っていない辛い現実が待っています.いったいどんな人生が待ち構えていることでしょう.  


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2015年04月05日

без названия

今朝は7時位に目覚め8時過ぎ出発,午前中は傾向観察に従事.2度の敗北から得られた教訓が活き,初期発生をよく観察できたのはいいのだが,発生が進むにつれて染色具合が悪くなっていく事態についてはまだ有効な解決策が見いだせていない.お昼過ぎにもう一度観察してみたのだが,やはり気長に待つのが最短経路なのかもしれない.
その後一旦寮に戻り,剃髪と昼寝を行う.3時間くらいのんびりしてから再びラボに戻る.まず夕食を摂ってから蛍光観察の片づけや卵固定,荷造り,撮影した画像の処理などを行う.予定では夜の間に仮眠をとるつもりだったのだが,午後に戻ってしまったので順序が入れ替わってしまった形なのだが,つくばに行く直前まで平然と作業するとは,奴隷ここに極まれり.といっても21時過ぎには作業が終わったので,あとはエッセイを書いたり,ネットサーフィンをしたりするのであった.

~・~・~

さて夜中に菅平を発って,明日の5時位にはつくば入りする予定です.午前中は宝篋山を散策した後,常陽新聞の方とお会いします.その後入学式を見て(スクリーンでいいかな),オリエンテーションまでの時間を適当にすごし,オリエンテーションを受け夕食を済ませて帰菅する予定です.  


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2015年04月04日

月食は剃髪より優先される

今朝は何時に起きたのかも何時に出たのかも忘れる.蛍光観察の準備や論文読解,デスクの片づけなどをして午前中を生きてから,午後は採集のついでに買い物に出向く.雪が溶けてからめっきりカワゲラを見なくなってしまい,つかの間の安息に浸っているといった心地である.その後も文献に目を通したりしてすごし,本日は早く帰って剃髪ののちとっとと寝るつもりであったのだが,月食が観測できそうなので延長戦に突入.雲や霧があって視界が晴れやか,というわけではないのだが,西日本や関東の平野部では観測が絶望的であることを考えると,リアルで見られただけでもありがたいと思うべきだろうか.





皆既月食の前後を見て21時過ぎに帰寮.ちょうど地球の影に入っている間に雲に覆われて,我が人生との相同性に想いを馳せたものだが,寮に戻ってきたらまた月が見えた.ということでカメラだけ外に出して撮影の継続を図ってみることにする.

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さて明日は剃髪と蛍光観察を行いたいです.そして翌日の入院式に備えて早く帰りたいです.  


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2015年04月03日

奴隷は隷属のために上洛する

さて今朝は6時ごろ目が覚め,早めの出発.昨日やりっぱなしにしていた蛍光観察の後処理や固定卵の処理を行い,BOSSに成果を見せて新たな課題を言い渡され脳内がパンクするとともに,チビノギ遠征の可能性についても打診してみたのだが,まあ行ってみればいいんじゃない,とのこと.かくして入学式が終わってほどなくして,カワゲラの奴隷がカワゲラのために京都市某所へ繰り出すことが決定した
日本でチビノギが報告された最初の論文を見てしまえばどのあたりに行くのかバレてしまうのだが,そこには1957年4月6日採集,と書いてある.4月6日といえば弊大学院の入院式の日である.流石に入学式に出て夜行バスで京都に行くのは死を意味するのでそういう無茶はしないのだが,そのほかに手に入れた2つの文献によって,どんな環境下でいつごろ出てくるのか,詳しいことは大体把握できた.この1年の経験も助けになって,きっと行けば見つけられることだろう.
BOSSには,さすがに年代が古すぎやしないか,と指摘されたのだが,この場所の特質を考えてみれば彼らに影響があるような環境の変化は起っていないであろう.また万が一この場所がダメだとしても,その周辺に良さそうな場所が無数にあるように感じる.時期を外していないのであれば,まあ大丈夫であろう.しかしなんだこの根拠脆弱な自信は...隷属過多で精神がすり減っているのかもしれないなあ.
そこでしばらくこの採集旅行のプランを考えて過ごす.京都にいつでも泊めてくれるような知り合いはいないのと,いたとしても車を停めるわけにはいかないだろうから宿を探すのだが,とても素晴らしい物件を見つけてしまった.今は秘匿にするが,もしかしたら宿にいながらにして目的を達成できるかもしれない.そのあとは文献を読んだりメールを創成したり宿や車の予約メールを投げたりしてすごし,夕食後20時過ぎに帰寮.

~・~・~

さて,明日も明日とてカワゲラに隷属です.急遽遠征が決まったこともあり,この土日は蛍光観察と文献整理・読解にきちんと時間を割かないといけませんが,明日は雨が降らなそうなのでカワゲラ探しとそのついでの買い物もしておきたいところです(なぜ,苦しくなると分かっていながら,必要ないと分かっていながら,私はカワゲラを求めてしまうのだろうか...).  


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2015年04月02日

カワゲラの奴隷の1日は長い

今朝は目覚ましを使わず5時半ごろ起床.外が明るくなるのと,部屋が暑いのとでいやでも目が覚めるようだ.6時台に出発し,午前中は卵固定をしたり水洗いした貝などを片付けたりしていたが早々にやる気が失われたので早めに昼食を済ませ滝まで散策に出向いて気分転換を図る.




菅平に春を告げるフクジュソウを見たり,エルタテハが春の喜びを体現して飛び回っていたりするのを見て心を落ち着かせる.




なおバードウォッチングではベニヒワをはっきり目撃し,アカマツの枝先に多数のマヒワを確認したほか,初めてヒガラを認識(写真はコガラ).シジュウカラと鳴き方が随分違うのに驚く.それから一直線に飛び去っていく猛禽をも見たのだが,あれはなんだったのだろう.根拠はないが,ハイタカのような気がする.


そして本日最大の収獲はこれである.道端に突如として産み落とされたカモシカの糞である.なかなかの量であると思うが,私が知るMAXの量に比べれば微々たるものである.ちなみにこの近くにもっと小規模な糞塊が 2 or 3 箇所ほど認められた.残念ながら鮮度に難があったようで落とし主に出会うことは叶わなかった.

さて心をリフレッシュしてから論文整理というか,こんがらがっていたりあるいは空っぽなカワゲラの知識の整理を目論む.あまり大きな分類群でないからか研究が比較的まとまっている(ように見える)Pteronarcyoidea, すなわちオオカワゲラ上科に属するPteronarcyidae (オオカワゲラ科), Peltoperlidae (ヒロムネカワゲラ科), Styloperlidae (ビンナンカワゲラ科)の論文を読んだり,目を通したり,探したり,まとめたりする.不完全な理解でモノを言うのもどうかと思うが,今の所,発生学的に新たな系統仮説を立てるのは困難があるように感じる.またこれらの分類群に関連して,この先1週間以内に西日本に行く可能性が浮上したことが特筆すべきことだろうか.すなわちヒロムネカワゲラ科に属するチビノギカワゲラ(ヒメノギカワゲラ)のシーズンが訪れているのである.これを逃すと1年待つことになるので,咲けることはできないかもしれない.うーむ,死ぬのでは...

夕食も早く食べて,本日のメインイベントである蛍光観察に挑む.昨日,固定液を変えて用意した黒い悪魔の卵はどうなっていたか.待っていたのは絶望の2文字であった.ただ僅かな希望の息吹も感じており,観察が失敗する原因が固定液ではなく染色時間だということに気が付かせてくれた.なお悪魔の卵については惨敗したものの,別の2種類のカワゲラに関して良好な結果を得られたので良しとしたい.うち1つに関しては,BOSSを驚かせることすらできるかもしれない快心の染色結果を見せてくれた.
23時帰寮.この長きにわたる拘束時間に奴隷の本領発揮を感じずにはいられない.

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明日は今日の片づけをしたり,写真をまとめたり,BOSSにいろいろ相談できればと思います.  


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2015年04月01日

観察に失敗する年度初め

今朝は6時半くらいに起床.目覚ましをしなくても朝早く起きられる事実に感動する.ラボについて準備を整えてから暗室にもぐりこみ,黒い悪魔の蛍光観察を始めたのだがあまり染まり具合がよろしくない.お昼を挟んで4時間近く撮影していたのだがまともに使えそうなものがほとんどない事実を目の当たりにしてこの先の隷属が思いやられたのだが,かくなる上はやり直すしかない.経験的に今回用いたものとは別の固定液を使うことで劇的に染まり具合が改善される気がするため,そうする.すぐ観察するかどうかは試したことがないが,急いで失敗しても仕方がないのでこの隷属はここまでにしておき,次は今後の人生を考える時間にあてる.
私は卒研で日本産9科のカワゲラの胚発生を追ってきたのだが,今後もこの調子で突っ走ると破綻するか先か死するが先か,という状況に追い込まれる未来が予測できる.そうなるのを避けるためにも,理想的な研究デザインを考えたかったのだが,それをアウトプットしようとすると驚くべきほど出てこない.まあ出すものが無いから出てこないわけで,検討が甘いだけなのだろう.とりあえず例の9科を含むキタカワゲラ亜目全12科の大まかなリストを作ったので,研究のバイアスをかけるとしたらどれにどのくらい勾配をかけるのかの判断材料としていきたい.
そのほかに,しっかりとではないが,研究室の先輩方の修士論文や博士論文に目を通してみる.弊ラボでは同じような研究をしているがその方向性は微妙に異なっているので,先人の努力を総合して我が学位論文の糧としたい所存である.21時帰寮.

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さて明日は蛍光観察の準備がメインの仕事となりそうです.残りの時間は人生について考えたり論文を読んで人生の指針に想いを馳せたりしたいです.  


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