2014年06月09日

日本産カワゲラ遂に出揃う

午前中はカワゲラに隷属し、午後はヒロムネカワゲラを探しに隣の沢へ向かう。


到着後あっさりとお目当てのカワゲラを発見。思っていた以上に大きく、渋く、取り乱さないその姿には好感が得られる。どうやら彼らはミヤマノギカワゲラというらしい。5匹採集し、そのうち2匹は卵持ち!


行きはたまたま通りかかったBOSSに運んでもらったが、帰りは3キロ近い道のりをのんびり歩く。
帰ってきて卵を取り出してみると、今まで慣れ親しんだオナシカワゲラ上科の卵と明らかに違っていて、赤い円板のような形をしていた。ミドリカワゲラもシタカワゲラも産卵し、今手元には実に6科分の卵がある。処理するためには610が固定マシーンと化すしかなさそうだ。

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明日は6月10日、610の日です。ゼミがあります。  


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2014年06月08日

без названия

今朝は7時起床、8時ごろ出発。午前中はカワゲラに隷属し、午後は少しカワゲラの支配から解放された時間を過ごす。


朝方は雨が降っていたが昼ごろには止んだ。つくばではなじみのないウスバシロチョウが雨宿りをしていた。パッと見てアゲハチョウ科とは思えないのだが、なかなか優雅である。




シジミチョウがちらほら飛び交っていた。おそらくヒメシジミだろう。これもまたつくばでは縁の無い虫で、身近に見られるのはとても嬉しいことである。なんといってもオレンジの模様があるところが平地の他のシジミには見られないポイントである(ツバメシジミにもオレンジの模様はあるが、あれはスポット的なものである)。


雨が上がった途端にエゾハルゼミが鳴きだすので、研究室にこもりっきりの610にすれば、手軽に外の天候が分かるある種のバロメーターでもある(ちなみにカッコウも雨が上がると鳴き始める)。日に日に個体数が増えているようで、出初めの頃は全然姿が見られなかったものだが、今日にいたっては道端で鳴いているオスを手の上に誘導し、鳴いている姿を動画に収めることに成功してしまった。ただ環境が不自然なせいもあって、長くても2回しかミョーキン! と鳴いてくれず、すぐケケケケケ…と言って鳴き止んでしまうのが残念である(ミョーキンのあとに!を伏すのには理由がある。これはかつてエゾハルゼミが図鑑上での存在でしかなかった頃、ミョーキン! ミョーキン! と書かれていて、とても不思議に感じたことの名残りである)。
夕方に買い物に連れて行ってもらうが、山を降りはじめたら強い雨が降ってきた。これは菅平も降られただろうなあと思っていたが、帰ってきて見ると雨が降った形跡はなく不思議な感じであった。本日は疲れたことといまいちやる気が出ないため寮に戻る。どうやら水曜日のセミナー発表が終わって大きなタスクが消えると腑抜けてしまったようだ。本当はここから論文や教科書を読みに読んで昆虫発生学とカワゲラ学の知識をインプットしていかねばならないのだが…まあ全休という選択肢が無いのだから、こういう時にスパッとカワゲラから距離を置く度胸も必要だろう。

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さて明日から月曜日、週7研究生活の始まりです!  


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2014年06月07日

我が人生を左右するカワゲラ界の重鎮お目見え

今朝は確か7時に起床し、8時半ごろ徒歩出発。天気図を見ていると、群馬県境あたりまで雨雲が広がっているのに菅平にはやってきていないさまが映し出されていた。なるほど、確かにこの辺りが少雨であることがうかがえる。


道端の草の上にセミを発見。下界にいた頃にはなじみの無かったエゾハルゼミである。


今まで5月からセミの声が聞こえる地域に居なかったので、この時期にセミを見るのは不思議な感じがする。
午前中はカワゲラに隷属。昼食後、雨が降らないのをいいことに毎週恒例の採集に出向く。


沢に行きつく前にタマムシを発見。なんとかナガタマムシというのだろう。


5月には滝の周りに際限なくカワゲラがいたものだが、今日はケバエとかクビナガムシ(甲虫のとあるFamily)といったわけの分からない連中ばかりでカワゲラ達はぱったりと姿を消してしまった。いったい彼らはどこに行ったのか・・・
笹藪に網を入れればその答えが分かる。ホソカワゲラのシーズンは終わりを迎えようとしており、オナシカワゲラとミドリカワゲラが下草に待機するようになったようである。カワゲラといえば川沿いでじっとしているイメージがあったのだが、彼らはけっこうアグレッシブらしく、沢から離れたセンターの玄関付近でもうろうろしていたりする。やみくもに藪をスウィーピングすればあっという間に処理に困るほどカワゲラが集まるのだが、滝の周りで水しぶきと瀑風を受けながら石の上を眺めまわすよりも格段に楽である。
オナシとミドリを採り飽きたので、久々に幼虫探しを行う。とはいっても狙う幼虫はただ1種…


この風貌を見よ!
北半球にいるカワゲラの中でもっとも原始的と言われている、トワダカワゲラの御姿である! 

厳密には菅平で見つかるトワダカワゲラはトワダと近縁のミネトワダカワゲラであるが、彼らは成虫になるまで4年をかけ、その上成虫になっても翅が無い。カワゲラについてあまり知らなかったつくば時代から、トワダカワゲラについてはその名前と原始的な姿を知り得ていて、いつかはお会いしたかったものである。最初の1匹を見つけてから追加を得るまでに時間がかかったのだが、コツをつかみ6匹の採集に成功。ひと掬いで3匹も採れた時は最高の気分であった。
彼らは研究室に持ち帰り、インキュベーター内での飼育を試みることにする。酸素を出す石を投入したので、温度と酸素の問題はひとまずクリアできたと信じたい。いずれも大きく終齢幼虫である気がするので、秋ぐらいになれば成虫になってくれるはず。


おミネ様を探していると、しばしばサンショウウオが網に入った。


流水性のサンショウウオで、眼が飛び出しておらず、爪がある・・・きっとヒダサンショウウオだろう。元つくば市民としては、ツクバハコネサンショウウオのように生物地理学的な研究対象として興味深い気もするのだが、カワゲラに支配されているとそんな余裕もないし、飼育しても死なせてしまう気がするのでリリース。もう少し大きな生体を見てみたい。


沢の横に倒木があって、そこで卵を抱えているホソカワゲラっぽい個体がいたのだが逃げられいきり立っていたのだが、そのすぐ横ではぷりぷりした見慣れぬ幼虫が蠢いていた。この雰囲気からしてシジミチョウの幼虫であろうことを察し、センターに持ち帰って調べてみたところ、アイノミドリシジミの幼虫とよく似ていることが分かった。もしオス個体であればとてもきれいな成虫が産まれてくるだろう。
ちなみに帰り際に卵を抱えたミドリカワゲラの採集に成功。これにて日本産カワゲラ9科のうち6科の卵の入手に成功。残すはトワダカワゲラ(秋に出現および産卵)、ヒロムネカワゲラ(もう出ているか?~秋ごろまで?)、そしてカワゲラ(夏ごろ)の3科である。20時に帰るまで、トワダカワゲラに関する文献を漁ったりゼミの資料を推敲したりする。

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明日は買い物に行きたいところです。余裕があれば少しカワゲラの隷属から逃避してほかの生き物さがしをしたいなあと思ったり・・・許可は下りるのだろうか・・・  


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2014年06月06日

без названия

今朝は6時半起床、素晴らしい目覚めであった。7時半に車に乗せてもらってセンター入りし、ゴミ捨て当番の責務を果たしてからいつものようにカワゲラに隷属。センター長との面談では病気の心配をされた後、カワゲラがセンター内でたくさん取れることをもっと広報してほしいと言われた。たしかに今の研究室の中で菅平で簡単に材料が手に入るのはカワゲラとトビムシくらいだろうし、しかも日本に産する9科のうち8科が採れるということはいい宣伝になると思う。その後連絡会に参加し、5月に着任された教員の自己紹介+研究紹介のセミナーにも参加し、カワゲラの様子見をしたりゼミの資料作りをしたりして20時ごろ帰宅。久しぶりに早く帰ることができた。

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明日は土曜日、買い物に行けたら行きたいです。  


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2014年06月05日

без названия

今朝は7時ごろ起きて8時ごろ徒歩出発、21時半ごろまでカワゲラに支配される。610の日に論文紹介をすることになっているのでその露文を読み、レジュメの作製に取り掛かったのだが、まじめにやっているはずの実験が滑稽に感じてしまう。

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明日はセンター長との面談があるようです。何を放せばよいのやら…  


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2014年06月04日

なぜカワゲラの研究をしているのか分からない病

今朝は6時起床。眠くて仕方がないのだが、朝に歩いてセンターに向かうのはなかなかいい気分になれる。今日はエゾハルゼミを拾うこともできたし、なおさらご機嫌である。スライドの手直しは昨日の段階で大方終えたので、いつものようにカワゲラの卵の処理に数時間を費やし、チェックはお昼前から始める。
昼食後に発表になったが、やはり昨日練習できたのはとてもよかったようで、かなり気楽に話すことができた。ただ質問にうまく答えられなかったのは情けないことである。なぜカワゲラをやるのかとか、比較発生をやるのかという根本的な問いに対して、先生が与えたテーマだからといった外部要因を持ち出すようではいけない。もっと内側から湧き出る好奇心とか意欲があればいいのだが、ここに来ると決めるまでカワゲラには見向きもしなかったことだし、昆虫の進化や系統について深い知識があったわけでもなかった。それでも周りの人たちからすれば、こういう問いに答えられない人間がいることが研究を行おうとしている現状が信じられないかとのごとく、問いかけてくることを止めない。

610は610でウソを言いたくないのだが、「先生が与えたテーマだから」という現実的な答えも真実を表している訳でもないこと、「カワゲラが好きだからカワゲラの研究の道に入る以外選択肢が無かった」わけではないことがネックとなって、色々な言葉を見繕ってそれなりの答えをしようと努力するのだが、その言葉のどれ一つとして自分の心に響かない。
うーむ、分からない、というのが最も正鵠を得ているかもしれない。この分からないという言葉には肯定的な意味と否定的な意味が含意されており、前者は「just do it ~行動の先に光は見える~」的な発想で、研究を進めていくうちになぜという問いに答えられるだろうという感じであり、後者は単なる思考停止であり、モラトリアムの延長的態度である。
残念ながら今の心境からすると後者に近く、分からないことを考えたくなく、ただ目の前にあるカワゲラの卵を処理して人生を消費しているような意味合いが強くなっている。はてさて、いったいどうすればいいのだろうか。先輩方や先生方に問いかけるのも悪くはないのだろう。こういう問いをうまくかわすtactics的なヒントを得られるかもしれないが、そういう態度で質問する気は起こらない。そうではなくて、菅平で研究を行うということには覚悟が伴うだろうし、いろいろな物を失うリスクもある中、そういったリスクに勝る研究や材料に対する熱意があったに違いないのだから、その熱源の認識に至るプロセスとか絶えず燃やし続ける秘訣とか、或いは610の否定的な分からないという態度を看破するような刺激あふれる体験ができるという思いでいるほうがよっぽど健全であろう。

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久しぶりに細々としたことを書いたらとても支離滅裂になってしまいました。このままカワゲラに圧倒されて思考停止状態に陥らないよう注意しないといけませんね。  


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2014年06月03日

本番で情けない姿をさらさないための内部処刑

7時半徒歩出発、23時帰宅。明日の発表に向けてゼミの時間を使って練習をして色々なダメ出しを頂く。スライド作りを始めていくとどうも自己満足に陥ってしまうらしいので、こうしてチェックしていただけるのは大変にありがたいことである。菅平に来て2カ月しかしていないしたっぱゴミとすら認識できないような情けないものしか作れないし読み取ることもできず、40年近く研究しているBOSSや大学院生のご指摘は自分ではいつまでたっても到達できないような感じですらあった。しかしBOSSからbeamerみたいな変なものを使わないで普通にやったらどうだいと言われてしまったのは残念である。まあ、あれだけ画像が雑では仕方ない。画像処理技術の向上が必要だろう。

  


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2014年06月02日

без названия

今朝は6時起床、7時半出発、以降21時頃までカワゲラに隷属。スライドおよび要旨はほぼ完成し、細かい推敲を延々と行う。
ちなみに昨日はシタカワゲラの卵に沸いたのだが、水に入れた結果、水を吸って普通の卵に復活した。

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明日はお昼過ぎからゼミがあり、明後日の菅平セミナーに向けた発表練習を行います。予行練習が行えるのはありがたいことです。  


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2014年06月01日

副産物がもたらす発見

昨日はつくばではやどかり祭という新入生主体のお祭があったらしい。610が1年生だったころ、生物学類では神輿を作ることもなく、クラスで出店を出店することもなかった。多大な時間を浪費することが無かったのは今から思えばとても幸運だったと思う。
今朝は6時起床。昨日よりも室温が低く寒かったのだが、この位がちょうど良いのかもしれない。7時過ぎにセンターに出発。午前中いっぱい作業をして午後からお隣の村へ向かい、あるイベントでBOSSや研究室の先輩方が指導している中学生のご自宅でトンボを探す(ドイツから来たポスドクALEXがトンボの頭部形態の研究を行うため)。ちなみに610はご家族の方に2人目の外国人研究者と思われていたらしい。
少し移動してカワゲラを探すも音沙汰なし。菅平の民と同様、カワゲラは炎天下では生きていけない。しかしALEXがなんとアオサナエを採集。kojeeeさんのブログでしばしば登場し、その美しさに魅せられ、密かに見てみたかったのだが、それはそれは素晴らしいトンボであった。ぜひ自分でも採集および撮影を行いたい。
結局平地ではカワゲラがいなかったので帰り際に渓流へ寄り道。ヒロムネカワゲラは結局見つからなかったが、卵塊を抱えるシタカワゲラ(おそらく昨日センター内で採集したものと同種)を2匹見つけ出すことに成功。シタカワゲラの観察は一応してはいるが不充分で、しかもそう簡単に見つかるものではなかったので悩んでいたところだが、これでまたじっくり観ることができそうだ。
センターに戻ってさっそく卵を見てみたところ、衝撃を受ける。今までの610の理解から外れた形をしているのである。2匹とも同じ様だったので卵の奇形であるとは考え難いが、彼女たちが産卵の準備を完了する前の段階で採卵してしまった可能性があり、素直に喜ぶわけにはいかないのだが、カワゲラの系統・進化を考えるうえで意味のあることかもしれない。そう思うとテンションが上がってしまう。

明日はシタカワゲラの卵を見ながら、他のカワゲラ達にも隷属しつつ、スライドの完成を目指します。

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昨日撮影



イカル



ウスバシロチョウ



子グモ







トビケラ



ゴマダラオトシブミのゆりかご製作工場。



きれいなシデムシ。ヨツボシヒラタシデムシという。
  


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