2014年06月07日

我が人生を左右するカワゲラ界の重鎮お目見え

今朝は確か7時に起床し、8時半ごろ徒歩出発。天気図を見ていると、群馬県境あたりまで雨雲が広がっているのに菅平にはやってきていないさまが映し出されていた。なるほど、確かにこの辺りが少雨であることがうかがえる。


道端の草の上にセミを発見。下界にいた頃にはなじみの無かったエゾハルゼミである。


今まで5月からセミの声が聞こえる地域に居なかったので、この時期にセミを見るのは不思議な感じがする。
午前中はカワゲラに隷属。昼食後、雨が降らないのをいいことに毎週恒例の採集に出向く。


沢に行きつく前にタマムシを発見。なんとかナガタマムシというのだろう。


5月には滝の周りに際限なくカワゲラがいたものだが、今日はケバエとかクビナガムシ(甲虫のとあるFamily)といったわけの分からない連中ばかりでカワゲラ達はぱったりと姿を消してしまった。いったい彼らはどこに行ったのか・・・
笹藪に網を入れればその答えが分かる。ホソカワゲラのシーズンは終わりを迎えようとしており、オナシカワゲラとミドリカワゲラが下草に待機するようになったようである。カワゲラといえば川沿いでじっとしているイメージがあったのだが、彼らはけっこうアグレッシブらしく、沢から離れたセンターの玄関付近でもうろうろしていたりする。やみくもに藪をスウィーピングすればあっという間に処理に困るほどカワゲラが集まるのだが、滝の周りで水しぶきと瀑風を受けながら石の上を眺めまわすよりも格段に楽である。
オナシとミドリを採り飽きたので、久々に幼虫探しを行う。とはいっても狙う幼虫はただ1種…


この風貌を見よ!
北半球にいるカワゲラの中でもっとも原始的と言われている、トワダカワゲラの御姿である! 

厳密には菅平で見つかるトワダカワゲラはトワダと近縁のミネトワダカワゲラであるが、彼らは成虫になるまで4年をかけ、その上成虫になっても翅が無い。カワゲラについてあまり知らなかったつくば時代から、トワダカワゲラについてはその名前と原始的な姿を知り得ていて、いつかはお会いしたかったものである。最初の1匹を見つけてから追加を得るまでに時間がかかったのだが、コツをつかみ6匹の採集に成功。ひと掬いで3匹も採れた時は最高の気分であった。
彼らは研究室に持ち帰り、インキュベーター内での飼育を試みることにする。酸素を出す石を投入したので、温度と酸素の問題はひとまずクリアできたと信じたい。いずれも大きく終齢幼虫である気がするので、秋ぐらいになれば成虫になってくれるはず。


おミネ様を探していると、しばしばサンショウウオが網に入った。


流水性のサンショウウオで、眼が飛び出しておらず、爪がある・・・きっとヒダサンショウウオだろう。元つくば市民としては、ツクバハコネサンショウウオのように生物地理学的な研究対象として興味深い気もするのだが、カワゲラに支配されているとそんな余裕もないし、飼育しても死なせてしまう気がするのでリリース。もう少し大きな生体を見てみたい。


沢の横に倒木があって、そこで卵を抱えているホソカワゲラっぽい個体がいたのだが逃げられいきり立っていたのだが、そのすぐ横ではぷりぷりした見慣れぬ幼虫が蠢いていた。この雰囲気からしてシジミチョウの幼虫であろうことを察し、センターに持ち帰って調べてみたところ、アイノミドリシジミの幼虫とよく似ていることが分かった。もしオス個体であればとてもきれいな成虫が産まれてくるだろう。
ちなみに帰り際に卵を抱えたミドリカワゲラの採集に成功。これにて日本産カワゲラ9科のうち6科の卵の入手に成功。残すはトワダカワゲラ(秋に出現および産卵)、ヒロムネカワゲラ(もう出ているか?~秋ごろまで?)、そしてカワゲラ(夏ごろ)の3科である。20時に帰るまで、トワダカワゲラに関する文献を漁ったりゼミの資料を推敲したりする。

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明日は買い物に行きたいところです。余裕があれば少しカワゲラの隷属から逃避してほかの生き物さがしをしたいなあと思ったり・・・許可は下りるのだろうか・・・  


Posted by Impulse610 at 06:10Comments(0)