2012年12月24日
プレゼントは自ら奪い取るものである
今朝は8時起床。例によって遅いのだが、しかしとても良い目覚めを迎えられたので良しとしたい。
菌類レポートの文章を作り、キリが良いところで宝篋山へ。すっかり虫はいなくなってしまい、さりとて鳥も見つけられない。意図的に薄着できてしまったこともあり、長居せずに帰路へ。

数日分の食材が必要になったので、部屋に戻る前に寄り道。それから先週も探索した兵太郎池畔へキツツキをじっくり見るために立ち寄る。ここからが本日のハイライトである。
双眼鏡を手にした610の頭の中にはアカゲラとコゲラの木をつつくシーンがループされていたのだが、そういう時に目線はどこに行くだろう。いつものように下を見るわけにはいかない。上の方を見ながら歩くのは不慣れなのだが、そうしたがために鳥とは違う、とあるものを発見。

そう、スズメバチの巣である。主は今頃その辺の朽木の中で冬越しをしているはずで、家主を失った巣は早くも朽ち始めている。
色といい、形といい、大きさといい、クリスマスプレゼントにこれほど適当なものもあるまい。610が無理やりにクリスマスと今回の発見をこじつけようとすれば、これが限界である。それはさておき、いいものを見つけた。幸いにも補虫網を繰り出せば難なく届く高さにあるのだが、取りに行くのは面倒だ。それより、何かこう、体の奥底から疼くものを感じるのだ。
よし、巣を取りに行こう!
610は上着を脱ぎ、身軽な格好で木登りを始めた。同年代の女性と腕相撲をやっても負けることの方が多い程度に、610は非力である(多分イモートにすら負けるであろう)。けれども、けだし木登りにおいて腕力不足は「いかに上手に足場を見出すか」によって充分補える。そうとは言っても木登りなんて滅多にすることはなく、今回は結構な高さがあったために落ちたら大変だろうなあ…と思わずにはいられない。

野外でこれほど巣に肉薄したのは初めての体験である。ここから取り外そうと接着部分を押してみるのだが、予想していた以上にしっかりとくっついている。それとは裏腹に、巣を覆っている部分は脆い。強く押すと崩れてしまう。やっぱり網を使った方が綺麗に取れたのかもしれないなあと思いつつも、このまま戻るのもなんとなく嫌だったので、強引に巣を樹から分離。接着部分をグッと押すと、その周りが崩れてしまうのだが、上手く離れた!

宙を舞った巣は、地面に落ちると見事に割れてしまった。木の上からでも中身がよく見えて、それはそれは変な感覚ではあったが、病み付きになりそうでもあった。ここから降りるときには足場にうまくたどり着けず、貧弱な上腕二頭筋の悲鳴がそれはそれは痛々しいものだったのだが、無事に上陸を果たせて一安心。似たようなことは3月にウスタビガの繭を取るときにもやっているが、木登りはなかなか楽しいものである。

ぱっかり割れた巣の中には繭がいくつか残されている。遺体をよく見てみるとキイロスズメバチのもので、時期的にオスのなれの果てだろう(610はそこまでハチに詳しいわけではなく【メスバチの幼虫がいつまで生みつづけられるのか】とか【オスバチの誕生後にもメスバチは生まれるのか】ということは知りません。)。ただでさえ巣から追い出され、ブラブラと余生を送るしかない運命を背負っている彼らだが、そうなのか、こうして外に出ることもなく果てていくものもいるのか・・・社会性昆虫のオスはこの生き辛さから逃れられない。

この無念そうな顔! 羽化直後に死んでしまった状況がいまいち想像できないのだが、スズメバチの巣の中ではこのようなドラマが人知れず展開されているのだと思うと、割って中の様子を観察できたことはかえって正解だったのかもしれない。
右下の方には同じ運命をたどったたくさんの幼虫たちが干からびている。彼らもオスになる運命だったのかなあ・・・

改めて自分がのぼった場所を確認。補虫網があれば届くという目測をしていたので4m位だという推測ができるが、改めて写真を見てみると、もう少しあったんじゃないかとも感じる。
さて、このあとは平常心に戻ってキツツキを探す。この前と違って音が聞こえてくるわけでもなく、アカゲラが飛び交っているわけでもなく、今日は無理かなあと思っていたのだが・・・コンコンというよりかは、トントンという音がわずかに聞こえる。コゲラがアカマツにトントンやっている姿を双眼鏡でじっくり観察できたのはとても至福であった。
願わくば撮影も…とGXRのレンズを双眼鏡にあてがっているうちにコゲラはどこかへ行ってしまった。面倒だが撮影は不可能ではなさそうなので、手際よくセッティングする練習を積む必要がありそうだ。
さて、この巣はどうしたものか・・・ひとまず部屋に持ち帰るが、クモだのゴキブリだの(巣の中で越冬している可能性あり)が潜んでいるのは明白であり、やはりやどけん行きが無難なところだろうか。部室の方が展開もしやすいし、片付けも楽そうだし…
ひとまずここまでブログを書いてから部室へ移動。

覆いの位置は自信は無いが、巣の階層はこのようになっていたと思われる。

そして、継ぎ目を無視して単純に積み上げてみる。何となく巣らしく見えてくる。これをこのように復元して来年度の雙峰祭で是非とも展示したいところだが、個人的にはこのまま中身がよく見える状態も捨てがたい。
―そうか、もう一つ巣を見つければいいのか!
~・~・~
さて明日は火曜日です。通常授業があることは何の苦痛でもないのですが・・・年始が月曜からきちっと始まるのに対し、年末がそう終らない(=金曜できちっと終わらない)ことは不満ですねえ。
菌類レポートの文章を作り、キリが良いところで宝篋山へ。すっかり虫はいなくなってしまい、さりとて鳥も見つけられない。意図的に薄着できてしまったこともあり、長居せずに帰路へ。

数日分の食材が必要になったので、部屋に戻る前に寄り道。それから先週も探索した兵太郎池畔へキツツキをじっくり見るために立ち寄る。ここからが本日のハイライトである。
双眼鏡を手にした610の頭の中にはアカゲラとコゲラの木をつつくシーンがループされていたのだが、そういう時に目線はどこに行くだろう。いつものように下を見るわけにはいかない。上の方を見ながら歩くのは不慣れなのだが、そうしたがために鳥とは違う、とあるものを発見。

そう、スズメバチの巣である。主は今頃その辺の朽木の中で冬越しをしているはずで、家主を失った巣は早くも朽ち始めている。
色といい、形といい、大きさといい、クリスマスプレゼントにこれほど適当なものもあるまい。610が無理やりにクリスマスと今回の発見をこじつけようとすれば、これが限界である。それはさておき、いいものを見つけた。幸いにも補虫網を繰り出せば難なく届く高さにあるのだが、取りに行くのは面倒だ。それより、何かこう、体の奥底から疼くものを感じるのだ。
よし、巣を取りに行こう!
610は上着を脱ぎ、身軽な格好で木登りを始めた。同年代の女性と腕相撲をやっても負けることの方が多い程度に、610は非力である(多分イモートにすら負けるであろう)。けれども、けだし木登りにおいて腕力不足は「いかに上手に足場を見出すか」によって充分補える。そうとは言っても木登りなんて滅多にすることはなく、今回は結構な高さがあったために落ちたら大変だろうなあ…と思わずにはいられない。

野外でこれほど巣に肉薄したのは初めての体験である。ここから取り外そうと接着部分を押してみるのだが、予想していた以上にしっかりとくっついている。それとは裏腹に、巣を覆っている部分は脆い。強く押すと崩れてしまう。やっぱり網を使った方が綺麗に取れたのかもしれないなあと思いつつも、このまま戻るのもなんとなく嫌だったので、強引に巣を樹から分離。接着部分をグッと押すと、その周りが崩れてしまうのだが、上手く離れた!

宙を舞った巣は、地面に落ちると見事に割れてしまった。木の上からでも中身がよく見えて、それはそれは変な感覚ではあったが、病み付きになりそうでもあった。ここから降りるときには足場にうまくたどり着けず、貧弱な上腕二頭筋の悲鳴がそれはそれは痛々しいものだったのだが、無事に上陸を果たせて一安心。似たようなことは3月にウスタビガの繭を取るときにもやっているが、木登りはなかなか楽しいものである。

ぱっかり割れた巣の中には繭がいくつか残されている。遺体をよく見てみるとキイロスズメバチのもので、時期的にオスのなれの果てだろう(610はそこまでハチに詳しいわけではなく【メスバチの幼虫がいつまで生みつづけられるのか】とか【オスバチの誕生後にもメスバチは生まれるのか】ということは知りません。)。ただでさえ巣から追い出され、ブラブラと余生を送るしかない運命を背負っている彼らだが、そうなのか、こうして外に出ることもなく果てていくものもいるのか・・・社会性昆虫のオスはこの生き辛さから逃れられない。

この無念そうな顔! 羽化直後に死んでしまった状況がいまいち想像できないのだが、スズメバチの巣の中ではこのようなドラマが人知れず展開されているのだと思うと、割って中の様子を観察できたことはかえって正解だったのかもしれない。
右下の方には同じ運命をたどったたくさんの幼虫たちが干からびている。彼らもオスになる運命だったのかなあ・・・

改めて自分がのぼった場所を確認。補虫網があれば届くという目測をしていたので4m位だという推測ができるが、改めて写真を見てみると、もう少しあったんじゃないかとも感じる。
さて、このあとは平常心に戻ってキツツキを探す。この前と違って音が聞こえてくるわけでもなく、アカゲラが飛び交っているわけでもなく、今日は無理かなあと思っていたのだが・・・コンコンというよりかは、トントンという音がわずかに聞こえる。コゲラがアカマツにトントンやっている姿を双眼鏡でじっくり観察できたのはとても至福であった。
願わくば撮影も…とGXRのレンズを双眼鏡にあてがっているうちにコゲラはどこかへ行ってしまった。面倒だが撮影は不可能ではなさそうなので、手際よくセッティングする練習を積む必要がありそうだ。
さて、この巣はどうしたものか・・・ひとまず部屋に持ち帰るが、クモだのゴキブリだの(巣の中で越冬している可能性あり)が潜んでいるのは明白であり、やはりやどけん行きが無難なところだろうか。部室の方が展開もしやすいし、片付けも楽そうだし…
ひとまずここまでブログを書いてから部室へ移動。

覆いの位置は自信は無いが、巣の階層はこのようになっていたと思われる。

そして、継ぎ目を無視して単純に積み上げてみる。何となく巣らしく見えてくる。これをこのように復元して来年度の雙峰祭で是非とも展示したいところだが、個人的にはこのまま中身がよく見える状態も捨てがたい。
―そうか、もう一つ巣を見つければいいのか!
~・~・~
さて明日は火曜日です。通常授業があることは何の苦痛でもないのですが・・・年始が月曜からきちっと始まるのに対し、年末がそう終らない(=金曜できちっと終わらない)ことは不満ですねえ。
今晩はつくばセンターあたりには多くのカップルが繰り出しているのでしょうね。そんな彼らに牙をむくことも憧れることもないのですが・・・疑問ですねえ。多くの人が、クリスマスイブを特に大切な日に定め、大切な人と無上の時を過ごすことに至上の価値を置き、それができないと後悔や無念さに苛まれることは610にとって大いなる謎です。
それから、どうして彼らはイルミネーションに吸い寄せられていくかのごとく、街中へ行くのでしょうか。ロマンティックな気分に浸りたいからなのでしょうか。創意工夫が凝らされたシティのイルミネーションはやっぱりきれいだとは思いますが、610には心に響くものではありません。610には自然という対立軸がありますが、こちらは【特定の時間に行けば必ず観られる】人工的なものと違い、今日いたコゲラが明日も木をつついているとは限らないように、いつでも同じものが見られる保証がありません。1年前に見たあの夕陽に勝るとも劣らぬきれいな夕陽の方を一緒に観た時の方が、街中のイルミネーションを観た時よりも感動的だと610は思うのですが・・・
ついでに言うと、610によれば、こういった自然に身をゆだねた時の方がより「2人っきりでいられる」そうです。つくばセンターより宝篋山の方が人口密度は低いのは、たとえデータが出せなくても厳然たる事実だと思います。宝篋山で鳥を見たり、ホソミオツネントンボ発見競争をしている時に、当事者以外に介入してくる人間は基本的にいません。ここがミソです。自然の中で対峙できるのは、自分と相手と自然のみ。
大変残念なことに、610論は未だかつて受け入れられたことがありません。「第三者」を欠く自然に居心地の良さを感じる人は多くないようです。まあ、居住空間は流石に除くとしても、街中に「2人っきりでいられる」場所は無いと思うのですが・・・ あ、観覧車がありましたか。あれはバーチャルに過ぎないですよね…
実際、610みたいな結構ひねくれた考えを持っている人でも、いざクリスマスイブとなるとそうはいかなくなるのかもしれませんね。知らず知らずのうちに型にはまった楽しみ方をしてしまう魔力が潜んでいるのかもしれません。
―普段書かないようなことを書くと気分が悪いですね。
今日は早く寝ることにします(´Д`)
それから、どうして彼らはイルミネーションに吸い寄せられていくかのごとく、街中へ行くのでしょうか。ロマンティックな気分に浸りたいからなのでしょうか。創意工夫が凝らされたシティのイルミネーションはやっぱりきれいだとは思いますが、610には心に響くものではありません。610には自然という対立軸がありますが、こちらは【特定の時間に行けば必ず観られる】人工的なものと違い、今日いたコゲラが明日も木をつついているとは限らないように、いつでも同じものが見られる保証がありません。1年前に見たあの夕陽に勝るとも劣らぬきれいな夕陽の方を一緒に観た時の方が、街中のイルミネーションを観た時よりも感動的だと610は思うのですが・・・
ついでに言うと、610によれば、こういった自然に身をゆだねた時の方がより「2人っきりでいられる」そうです。つくばセンターより宝篋山の方が人口密度は低いのは、たとえデータが出せなくても厳然たる事実だと思います。宝篋山で鳥を見たり、ホソミオツネントンボ発見競争をしている時に、当事者以外に介入してくる人間は基本的にいません。ここがミソです。自然の中で対峙できるのは、自分と相手と自然のみ。
大変残念なことに、610論は未だかつて受け入れられたことがありません。「第三者」を欠く自然に居心地の良さを感じる人は多くないようです。まあ、居住空間は流石に除くとしても、街中に「2人っきりでいられる」場所は無いと思うのですが・・・ あ、観覧車がありましたか。あれはバーチャルに過ぎないですよね…
実際、610みたいな結構ひねくれた考えを持っている人でも、いざクリスマスイブとなるとそうはいかなくなるのかもしれませんね。知らず知らずのうちに型にはまった楽しみ方をしてしまう魔力が潜んでいるのかもしれません。
―普段書かないようなことを書くと気分が悪いですね。
今日は早く寝ることにします(´Д`)
Posted by Impulse610 at 18:10│Comments(0)