2019年08月18日

2019. 7. 30-8. 18 の人生

7.30 午前中生卵解剖胚の後固定およびスケッチ。午後BOSSの所にTEMデータもっていき相談。いろいろあって、カワゲラを一時中断しコオロギを使うことを打診される。一時的であってもカワゲラから解放される喜びも相まって快諾。ということでコオロギを使うにあたり色々文献調査をする必要が生じ、しばらくはそういう人生を歩むことになる。カワゲラと違ってコオロギは19世紀から今に至るまで色々な研究が存在し、フランス語やドイツ語で記載されている論文も多いし、分子発生学的アプローチを行っている研究グループもある。どうなることやら・・・

7.31 ひとまずフランス語で書かれているトノサマバッタ論文を英訳。いきなりコオロギでないのだが、同じバッタ目昆虫として気にかけずにはいられない内容であること、ページ数が短く全文英訳(某翻訳サイトに投げるだけだが、OCRの精度の問題もあって目視チェックが必要なので労力が大きい)しやすいことから選定。ふむふむ。その後BOSSにとある相談をしたが、思っていたことと違う回答が寄せられやや困惑。まあとりあえず今は文献渉猟を進めよう。夜に後輩の野望を聞く。私も人のことは言えないが、のちのちこけないためにも、もう少し文献調査をしてみるといいような気がする。


8.1 カワゲラ胚外部形態観察用に染色を進めたものの、洗浄時にほとんど流出してしまい悲しみに暮れる。ひと工夫必要だ。ドイツ語で書かれたクラズミウマ論文のうち該当範囲を英訳。切片のスケッチはよく参考になる。切片修行に来ている後輩および直属の後輩にエポキシ樹脂切片資料作成を指導。来週に迫った実習テキストの印刷。

8.2 19世紀の偉大なドイツ語発生論文から関係しそうな部位を抜き出し英訳。この時点で、現在の消化管形成のコンセンサスとほぼ一致したことが言われてしまっているので、この先付け足すことがあるのかどうか不安にも思うが、当時よりも観察の精度が高まっている今、改めて観察しなおしたらそこそこの発見もできそうな気はする。引き続き樹脂の指導。

8.3 修行中の後輩を下界に送る。各種買い出し。団子を買ってきて研究室メンバーで食べようと思ったが全員いないことに買ってから気づき、休みにもかかわらず出所していた後輩に布教。文献整理と20世紀初頭のドイツ語トンボ論文の英訳。

8.4 先日採集したシミが産卵したらしい。卵を別容器で保管しようと取り出したがその過程で大半をつぶしてしまう。イシノミやトンボの消化管形成論文を読む。消化管形成に関わっていそうなデリケートな構造があるのだが、これはおそらくTEMでしかはっきりしたことはわからない部類なので、どうやって仕留めるかを考えてみたりする。学生主体のBBQが開催されるらしく、幹事(直属の後輩)に肉の買い出しを命令される。前々から音に聞いていた名店ではあるが、行きは道を間違えて大変な目に遭った。どんな肉をどのくらい買えばいいか不明だったので店の人に要望を伝えたら見事に取り分けていただいた。BBQ関連の客は多いので慣れているのだろう。同乗していた解剖娘と牧場の話になって、帰りに牧場に寄り道。学生寮の庭先?でBBQをしたが、これは今までに経験のないものであった。なかなか楽しいひと時を過ごす。

8.5 さて本日から実習。例年と比べて2週間ずれ込んでおり、色々心配である。午前中に準備をして午後からガイダンスや講義、そして土壌動物採集。

8.6 本日は野外採集。イシノミ、ガロアとれず。熱中症とは関係のない体調不良者が出てしまったがそれ以外は平気。ムカシトンボ1匹。戻ってきて標本作製の指導。取れ高はそこまで悪くなさそうだ。

8.7 午前中にバッタの解剖。例年材料にしているヒナバッタが極端に少なく、やむを得ずイナゴモドキ等も使う。ここに日程変更の影響を見た。解剖娘が工作をはじめ、バッタの幕状骨がよくわかる頭部の模型を作製してしまった!しかし彼女の意に沿うような、突如として幕状骨に魅了される実習生は今年は現れなかった模様。その後解剖を続けつつ、終わった人から標本整理。水生昆虫採集の折に、謎の幼虫が取れたということで見せてもらったが、本当に謎で困惑。図鑑をパラパラ見ていたらそれっぽいのが見つかったが、マルドロムシなる見たことも聞いたこともない、ネット上にも情報が乏しいらしい虫のようだ。たまにこういうことがあるので勉強になる。

8.8 構内で追加採集。イシノミ、ガロアそこそことれる。弊はおそらく去年の実習で落としたであろう毒瓶を発見。各人、担当の昆虫を決めてもらいスケッチ。カメムシの謎構造が見つかったりする。BOSSから論文の直しが返ってくる。だいぶ削ることになるが、削ったデータは別の論文書けばいいということなのでそれも早いうちに手を付けたいと思う。

8.9 スケッチを書き上げてもらい、夜から発表会。今年はかなりすんなりとスケッチが作成されたが、さらにその出来もよく感心。その後、クワガタに愛を注ぐ実習生のアツい話を聞く。

8.10 実習終了。補助に駆け付けた研究室出身の先輩、解剖娘、切片修行の卒研生が下山してしまい、ラボにはいつもの静かなひと時が戻ってくる。修士、博士の時に感じていた孤独感が再来しないといいのだが・・・昼、直属の後輩と蕎麦屋へ。どうしても後ろ向きな話題が多くなってしまう。とりあえず研究はもう少し楽しくやっていきたいなあ。夜間、蛾が好きな別ラボ後輩と信州昆虫資料館のライトトラップイベントに出向く。蛾が分からない弊はヘビトンボとチャタテムシを採集。後輩は色々なつながりができたようであった。帰りに研究関係の色々を伺う。なかなか大変とは思うが、希望通りの道を進んでもらえればと思う。

8.11 バスと新幹線、秩父鉄道経由で主人のもとへ。弟およびその配偶者候補が秩父に遊びに来ているので同席を依頼されたのであった。銘仙館を軽く見学、2日連続で蕎麦、近傍の河川で釣りチャレンジ。餌の川虫をとったり、ヌマムツを釣ったりする。弊は時おり水面を飛んでいく、オニヤンマのような赤みを帯びた大型トンボの採集をもくろむがことごとく失敗。夜はホルモン屋に行って色々な部位を堪能。肺をはじめて食したが味がしなくてビックリ。終電で帰る弟とその彼女を見送ったころ、全身にじんましんが出ていることに気づく。そういえば川にいたとき意味もなく全身がかゆくて不思議だったが、まさか・・・であった。きっと疲れからか生じてしまったのだろう。

8.12 疲れからか日中は寝て過ごし、涼しくなった夜、菅平に避暑に出かける。先月、チャンジャがおいしいことを知ってしまったので、また買ってしまう。

8.13 前から行ってみたかったビーナスラインに行く。途中白樺湖に立ち寄る。白樺湖入り口の交差点を過ぎたあたりからの絶景はなかなかのものであった。霧ヶ峰でホオアカを沢山観測。ビジターセンターの近くに美しいキベリタテハ。コウリンカなど各種高山植物?を観察。和田峠を攻めて下山、回転寿司屋に突入して魚を補給。

8.14 色々出かけすぎて疲れる。ようやっと皮膚科に行って薬を処方してもらう。ペットショップに何件か行くがコオロギは売っていない。やはり通販で買うしかないらしい。前々から存在を知っていたカレー屋でカレーを食べ、主人は秩父へ帰っていく。とある町内会の盆踊り大会を見てしみじみ。

8.15 薬をもらったことでようやくじんましんから解放される。だがこれまで色々動いたこともあって疲れすぎやる気がわかない。そんな状態でもできそうな、文献の整理をやっているうちに若干回復し論文の直しをする。


8.16 買い出しと自炊。

8.17 久々に登山をしたくなったので、四阿~根子岳の縦走をかます。購入以来ほとんど使っていないコンタクトレンズを装着。8時過ぎに登山をはじめ、小四阿につく前に気持ち悪さを感じる。ああ熱中症っぽいなあと感じたので、ペースダウンと水分・ミネラル補給を入念に行う。どうにも気持ちに体がついていかないようで、博士論文執筆のおかげでだいぶ体力がなくなってしまったらしい。しかし意図的にゆっくり登ることにした結果、徐々に体が慣れていき、気づいたら10時半に登頂。かなりの賑わいであった。大隙間分岐点に立ち戻り、しばらく鳥を探していたが、猛禽っぽい2羽が出現!イヌワシだと嬉しいが、翼のシルエット的にハヤブサのようだ。ほか、ウソの若鳥(頭が黒くなく、当初、???となった)やコガラ、ヒガラ、ウグイスをみたものの、登山を思い立った要因であるホシガラスがいない!さて大隙間へ降りたつまでの傾斜はかなり厳しく、逆方向の登りは考えたくない(かつて1~2回やっている)。平坦な道はあっという間で、根子への登りもなかなかしんどい。ただ景色がよいのが救い。12時ごろ根子岳山頂。残念ながらガスがかかってしまい眺望はよくない。お昼を食べて下山開始。ベニヒカゲが飛び交いいい気分。だがホシガラスはいない・・・再チャレンジ必至。1時間ほどで登山口に戻ったが、足が大変な悲鳴を上げている。牛を見ながらソフトクリームを食べとっとと帰宅。以降死んだように過ごす。

8.18 よく寝たが随所が筋肉痛。部屋の掃除や布団干しをする。昼食後、ネットでコオロギを購入。その後文献整理やZ学会のスライドづくり。すでに論文にした内容を話す+スライドがあるので準備はそんなに大変じゃないが、内容の統一を図るとか、聞き手に少しでも分かりやすくしてもらうために配慮を考えるなどはしっかりやらないといけない。とはいえ、内容はあまりにマニアックなため、いろいろ手を尽くしても厳しいのだろうなあ・・・



Posted by Impulse610 at 19:54│Comments(0)
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