2013年04月28日

コケに子孫繁栄の想いを込めて

今朝は5時10分起床。少々眠いのだが、何はともあれ、昨日の宣言通りサラサヤンマの羽化探しは実行できそうである。

さて7時になったら胴長を履いて宝篋山へ向かう。この時間帯は人も少なくて静かでとても素晴らしい。サラサヤンマの湿地に入ると、一切の人工物から遮断され、鳥の声しか聞こえない。しかしながら、発見すべき羽化個体、および羽化殻は見つけられずじまい。1時間ほどしか滞在出来ぬまま、仕方なく宿舎へ戻る。

そして気を取り直して、今度はカーシェアの車で出発する。予想通り車は満席で、これは臨時駐車場へ行かなくては駄目かなあと思っていたところ、運よく車が出て行った。そこに非常に危なっかしく駐車をして、いざトラップの回収へ出向く。
コケに子孫繁栄の想いを込めて


山麓部分ではゴミムシばかりが集まったが、ちょっと移動した山道ではご覧のようにツクバクロオサムシが優占していた。まあ、冬にあれだけたくさん出てくるのだから、トラップで採集すればそれこそ腐るほど集まってしまうだろう。彼らを解放しても良かったのだが、新入生に標本作りの練習をしてもらうことがあればよい材料にもなるだろうと思ったので全て持ち帰ることに。
本日は昨日と違って、ここから半分自由行動のような形にする。2日連続でムカシトンボを眺めつづけるのは、人によっては退屈だろうし、何より他の場所に行ってみたり、沢沿いにはいない生き物を探したいかもしれない。ということで、気が付いたら昨日不参加だった3310さん一人を引き連れて、ムカシトンボの観察に出かける。沢に降りてきたときは結構じっくり観察してもらえたと思うのだが、昨日と同様に頻度は高くなかった。

610は本格的に撮影をしておきたかったので、そこそこ観察ができた後、3310さんとも別行動を取ることにする(彼女は結局山頂まで行ってきたらしい)。まあ、アクティブに動き回るというよりかは、1か所でひたすらムカシトンボのご降臨を待ちぼうけるだけなのだが、今日もあまり飛んでこない。よく飛んでいる時には、10分も待っていればいつの間にか新たな―あるいは同一の―個体が戻ってきていたものだが、昨日今日はてんで見かけない。人の気配を察して上手くよけているだけなのかもしれないが、ひょっとしたら今年は「はずれ年」なのかもしれないし、あるいはピークを逃しているのかもしれない。
コケに子孫繁栄の想いを込めて


ふとトンボの気配を感じたのだが、このべったりした止まりっぷりはムカシトンボらしくない。副産物扱いをして申し訳ない気もするが、この時期よく見るヒメクロサナエであった。思えばこのサナエ、2年前に一度採集したっきりだなあ… そう思って補虫網を携えようとしたとき、彼(?)は空高く舞い上がってしまった。彼らは普段沢沿いの木の葉の先に止まっていることが多いようだ。

下山まで30分ほどになった頃、ふらりと一匹のムカシトンボがご降臨なさった。撮影可能範囲内にはすでなく、上流へ向けて飛んで行ってしまったのを見送っていたのだが、よく見るといつもとは動きが違っている。沢のすぐ近くまで降りてくるオスは、メスがいないか慎重に慎重を重ねて、しかしながら決して静止することはないのだが、この個体は一瞬だが動きが止まったように見えた。ということは・・・これはメスではないか!
メスもまたオスと同じように上流へ向けて飛んでいくのだが、気に入った場所を見つけると留まって産卵を行うのだ。この性質を知っている610は、急いで沢のさらに上流へと駆け出す。先回りして撮影体制を整えるために!
コケに子孫繁栄の想いを込めて

※画像右端真ん中あたりにいます

果たして彼女は沢のどん詰まり―流れ自体はまだ続いているのだが、610にとっても彼女にとっても、この先には用が無いだろう―で本格的な産卵体制に入った。こうなるとちょっとやそっと近づいたところで逃げられることが無い。左腕と左足が水浸しになってしまうのだが、そんなことをためらっている場合ではない!
コケに子孫繁栄の想いを込めて


コケに子孫繁栄の想いを込めて


コケに子孫繁栄の想いを込めて


ご覧のように、ムカシトンボはコケに産卵する。
コケに子孫繁栄の想いを込めて


腹部先端あたりのコケの中に、細長くてうっすらと白いものがご覧いただけると思うのだが、これが彼女の産んだ卵である。
コケに子孫繁栄の想いを込めて


太古の昔からこのようにして繁殖してきたことを思うと、なかなかに感慨深いものだ。
コケに子孫繁栄の想いを込めて


産卵の邪魔をするのは気が引けるのだが、この沢の下ではムカシトンボの採集に燃えるIさんがパトロールに来るであろうオスをお探しになっているはずだ。実はムカシトンボを初めて見つけた2年前も、産卵中のメスをひっつまんでしまったのだが、歴史はかくも繰り返してしまうのであった。
ちなみに、手乗りをしても飛んでいかないのはワケがある。ムカシトンボはいったん静止してしまうと、次に飛び立つときに「準備運動」が必要になる。610は生憎野外で静止している個体を観たことが無いので確証は持てないのだが、いったん捕まえたムカシトンボはすぐ飛んでいくことができず、翅を振るわせて体を温めるプロセスが必須らしい。だからオスは延々と飛び続けているのかもしれないなあ…というわけで、彼女はIさんに献上。Iさん、オスはぜひご自分でお捕まえになってください(´Д`)

~・~・~

さて明日はやどけん新歓行事のクライマックスとして、大洗へ釣りに出かけます。車を出す都合上、610が運転をしなければいけないのですが、なかなか不安がぬぐえない… 釣果があればいいのですが、貧相であれば漁港で魚介類を買い、つくばに戻ってきてお食事会を行う予定です。



Posted by Impulse610 at 18:10│Comments(0)
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