2011年12月18日

ナターシャの目覚め

母と妹とと私で、ある広場で昼食をとっている。午前中は渡良瀬でマイマイカブリやいろんな虫を探していたはずで、その時の様子をその場に居合わせたやどけんのKさんが嬉々として妹に語っている。かつてないほど大量にマイマイが採れたこと、ヒキガエルの卵塊を見つけたこと、そしてハルゼミ・・・
しかしながら、610にはつい先ほどの出来事のはずなのに、全く実感が持てなかった。特に、マイマイの大越冬集団を見つけたのは自分であるというのに、どうしても思い出せない。おおよそ、記憶が飛んでいる時は間に睡眠を挟んでいるはずで、多分車でこちらに向かっている時に爆睡していたのだろう。朝は早かったのだから…でも、なんだかおかしい。

―いや、ひょっとしたらまだ出かける前なのでは―

3:25、ようやく現実世界に立ち返る。この時期にヒキガエルやハルゼミが見つかっていいのは夢の中だけの話である。朝ご飯の前に昨日やりそびれたTOFEL英語の復習を行い、支度の合間に甘酒をたしなむ。本当は昆虫採集に出かけるのだからそれ相応の格好(=作業服)を着るべきなのだが、つくばの冬の寒さの前でどうしても袖を通すことができない。酢エチのにおいをかぐのは石垣島以来、4カ月ぶりなのか。思えばそれから久しくまともな昆虫採集はやっていないからなあ…
家を出る直前に熱い紅茶を水筒に注ぎ、6時に集合して、Mさんの車で渡良瀬へ向かう。出発まで10分近く野外で待っていたのだが、この時初めて-4℃の世界を体感。作業服じゃ無理だなあと痛感せざるを得ない。
一時間半ほどで遊水地に到着し、ひとまず整備された辺りを散策。この辺りは訪れたことがあるはずだがいつのことだか思い出せない。アシ原が広がっているだけでマイマイは期待できないので通過した記憶があるが、ここまで寒かった覚えはない。というより、今まで体感したことの無い寒さである。顔はひきつって話そうにも筋肉が動かないし、鼻水は止まらない…
ナターシャの目覚め


ということで場所を移動。とある河畔林でマイマイを探す。ここも来たことがあるなあ…
立ち枯れの中から早速610がヒメマイマイを出し、近くの倒木からたてさんがアカガネを出すも、その後は絶不調。Kさんもアカガネ1匹と、「多産地」で有名なはずの場所でまったく成果が出ない。確かにいそうな空気に満ち満ちてはいるのだが、いい材が無い。
ナターシャの目覚め

GXは寒さに強いらしく、本日は活躍してくれました

ということで再び移動。高校合格が決まった直後、2007.2.3に渡良瀬初訪問となった(そしてオサムシに傾倒し始めるきっかけとなった)場所へ向かう。ここにはその後3.26にも訪れており(もう一回来たような記憶もあるが…)、なかなか思い出深いところである。それはいいのだが、何故か出てこない。倒木はあるにはあるのだが、完膚なきまでに乾燥していたりナターシャ(親愛の念を込めて、610は鉈にНаташаという愛称をつけている)で削るには気の遠くなるような硬いものばかり、傍から見ていてとても仲にめぼしい虫が潜んでいるようには見えない。
ナターシャの目覚め

アオゴミムシ

ナターシャの目覚め

木の洞の中にいたアカガエル(こんなところで越冬して大丈夫?)

この場所も早々に見限られ、昼ごはんに。610はお菓子で済ませようと思っていたが、Mさんの提案によりファミレスへ。こんなこともあろうかと財布を持ってきておいて正解だったが、次なる場所を決めつつわずか20分程度の滞在となった。
次は渡良瀬から離れた河畔林を目指すことに。ここも610は訪問したことのある(2009.1.6)場所で、一か所でのマイマイ採集数のmyギネスをたたき出した(32匹だが、これはオサ屋としてはきわめて少ない部類だと思われる)のもこの場所である。期待が持てるはずだったが、まずはポイントまで延々と歩くことになってしまったのは誤算であった。もう少し車を侵入させておくべきだったが、「渡良瀬の洗礼」のことを思うと致し方ない。
マイマイは出るには出る(610二匹、たてさん・Kさん各1匹)には出るのだが、あまりに少ない。集団越冬していても良さそうな材も渡良瀬よりは見かけやすいのだが、こういう所にも入っていない。何とも不可解である。Kさんに驚かれたのだが、今回生まれて初めて「コカブトムシ」を発見、採集できた。マイマイを探していればよく見かけることはweb上の採集記を読んでいてよく知っていたのだが、確かに今までその機会に恵まれなかったのは不思議だ。
ナターシャの目覚め

コカブトムシ

ナターシャの目覚め

ニホンカナヘビ(しっぽだけ動くと、見慣れたミミズと違うこともあって気味が悪い)

ナターシャの目覚め

ヒメマイマイカブリ

陽も傾いてきたので撤収、ねぐらに戻る鳥を見に朝に行った場所まで戻ることにする。車まで戻る長い帰り道の途中にKさんがハイイロチュウヒ♂を目視! 610は鳥にはさっぱり疎く、しかもその時下を向いていたものだから白い鳥が飛んでいるなあ…と認識するのに精いっぱい。何とも残念…
鳥類愛好家と思しき車を「尾行」して観測ポイントにうまく潜入することに成功し、陽が暮れるまでアシ原をねぐらとするチュウヒを観察。遠目に見ているとトンビにしか見えないのだが、その違いが610には分からない。きっと好きになれば(虫みたいに)見分けられるのだろうなあ… ここではチュウヒのほかにも、東京都では絶滅し茨城や栃木等関東地方の一部地域でしか棲息していない「珍走団」の貴重な生態を観察できた。中でも我々の目の前でウィリー走行を披露してくれたことには感激するしかない。
ナターシャの目覚め


帰りの車の中では珍しく寝てしまう。まあ疲れていたようだから無理はないか。

多産地で惨敗という不名誉(?)な結果に終わってしまいましたが、非常に楽しかったです。
次回はぜひ守谷でリベンジしたいですね(´Д`)

~・~・~

明日は授業後3時間、標本制作バイトに携わってきます。その前に本日の収集品を整理しておいて、腕慣らしをしておきたいところです。



Posted by Impulse610 at 06:10│Comments(3)
この記事へのコメント
>ティンバーランドさん

ご覧いただきありがとうございます。
Posted by Impulse610Impulse610 at 2011年12月20日 08:14
珍走団の生態(笑)
あれを見逃したのは非常に痛い←

ウチは初心者だから、正直坊主覚悟してたけど、
アカガネとマイマイ一匹ずつ採れたし、満足だわ(。-ω-)b

機会あったら次は県南のあの地域行ってみますか・・・!
Posted by たて at 2011年12月20日 12:52
>たてさん

いきなりウィリーをしたときは自分の目を疑いました(゚Д゚)

お見事です! 610はアカガネを材から出すのに2年近くかかりました…

その地域には一度行って大した成果を上げられなかったので、是非ともリベンジしたいです!
Posted by Impulse610Impulse610 at 2011年12月21日 06:13
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