2015年02月18日

雪中行軍

今朝は6時40分起床7時15分出発.朝から雪が降っており哀しい未来が予見されたのでしばらく実習室で待機しエサ台にやってくる鳥を観察.このとき,常連の鳥たちに交じって見慣れない鳥が視界に入るのが気になっていたのだが,BOSSがその鳥をベニヒワと同定し事態は一変.年によって個体数の増減がある冬鳥らしいが,菅平でも見かけるのは珍しいものとのことで,正体が分かっていない状態ながらも何度か目にすることができたので歓喜せざるを得ない.昨日も遺物の羽ながらマヒワの存在を確認しており,初見の鳥が実習で増えていくのは何とも心地の良いことである.
また,鳥を知らない実習生が段々と鳥を覚えていく様子を見るのも楽しいものである.いったいいつまで記憶に残っているかとか,今後も鳥に興味を抱いてくれるかとかは気にしてはいけないことだが,この実習で鳥見に目覚めてくれる学生が一人でもいたら嬉しいことである.ちなみに610は2年前の実習時には冬の水鳥に興味を持ち始めていたが陸の鳥は全然分からず,大して興味も湧かなかったのだが,多くの小鳥をいっぺんに観察する恐らく初めての機会だったこの実習が今につながっていると思いたいものである.
その後センターの外に出て鳥見や雪上昆虫の探索をしに行ったのだが激しい雪を前にカワゲラが少し,イマニシが1匹見つかった程度に終わり,結果的に無駄足になってしまった.ただ1時間に9センチもの積雪を記録するような驚異的な雪の中を歩くといった経験はつくばでは出来ないだろうから,それはそれで良い体験になったと思う(610も初体験だったが,このまま降りつづけたら夜に帰れなくなるのではと心配だった).
昼食後から班ごとに自由研究のテーマを決めその準備に取り掛かる作業となったので適宜離脱して固定卵の整理や文献の電子化作業を進めていく.夕食後は学生の補助というよりTAやセンターの学生の方との談笑がメインとなる.ちゃんと仕事しなければいけないのだが,実習生もスタッフも適当にのんびりできる実習は心地よいものである.22時帰寮.




ところで昨日採集して喜んでいたコバネガっぽい蛾を朝のうちに追加で採集し,ついでに撮影にも挑戦したのだがとにかく小さい.2枚目の写真ではレンズキャップの右にいるのだがおそらく見えないだろう.こんなゴミのような蛾だが,蛾やチョウの系統関係を考える上では無視できない重要なグループで,鱗翅屋さんなら当然知ってますよね?と煽るに足るものでもある.BOSSにお見せしたところ,コバネガというよりスイコバネガっぽいねという見解を頂いた.ややこしいがこの2つはそれぞれ亜目レベルで異なるグループであり,端的な特徴として,両者にはチョウやガでおなじみの口吻が存在しないのである!一部の界隈では結構ホットな話題なのだが,菅平の寒さにかき消されて読者の皆様には伝わりそうもないのが現実というものである.

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明日は実質的な実習最終日で,自由研究の発表に向けて準備が進んでいく日です.私はその間にスイコバネの標本作成や撮影をして専門家に連絡する準備をすることになるでしょう(かようにこの小さな蛾はアツいのです).  


Posted by Impulse610 at 18:10Comments(0)