2014年02月10日

こう見えて初体験、鳥の解剖&剥製づくり

今朝は嬉しいことに5時起床。目覚ましに脅かされることなくスッと目覚められたこともあって、また日中は解剖に従事する必要があるので、このまま布団から飛び出して生物学演習の課題を進める。Zwick(2000)を観ながら分類群の固有派生形質をつらつらと書きあげていくのがメインの作業であるが、如何せん部屋が寒い。エアコンは30度、深夜2時ごろから稼働させ、送風もパワフルにしているのにもかかわらず室温は15度に達する程度。冷房に関しては広い2人部屋でも問題なかったのだが、暖房はつくばの寒さの前にあまりに無力である。
悲観した610はお湯を沸かしレモネードを飲むことにしたのだが、一気に飲むと一気に体が芯から温まる。今まで寒さをこらえるために暖かいものを飲もうと意識したことがあまりなかったというのも変な話だが、事実そうらしく、その効能に驚かされた。
それはさておき、東京にいたころからやっているもう一つの暖まり方法であるシャワーを浴びにシャワー室へ降りたのだが・・・お金を入れても稼働しない! 全裸である610の前に突き付けられたあまりに無慈悲な現実。これは辛かった。泣く泣く部屋に戻ってなけなしの100円玉を手に取り、隣のシャワー室に移らねばならないみじめさと言ったら! 

さて生物学演習の課題を進め、時間が来たので部室に移動し鳥の解剖を行う。
J君がアルバイトで通っている施設ではしばしば野鳥が窓ガラスにぶつかって斃れているらしく、施設のスタッフの方がトリを携えわざわざ部室にお越しになった。




献体されたのはトラツグミ4羽にシロハラ1羽。シロハラは近所でもしばしば見かける顔なじみではあるが、トラツグミの方は長野と筑波山で声を聴いたことはあれども(施設を除いて)その姿をじかに見たのはこれが初めて。シロハラよりも若干大きいのが意外な感じだ。

さてこのトリたちは前日に冷凍庫から出してもらい、一晩野外で放置されていたとのことだが、まだ完全に解けきっていなかったので剥製づくりを前提とした解剖に取り掛かることはできなかった。そのため陽に当てて溶かしつつ、あまり状態のよくないトラツグミを手始めに解剖してみることにした。ガラスに衝突した衝撃だろうか出血していたこともあり、そもそも不慣れなことも相まって臓器の正確な位置確認が難しかったのだが、胃の内容物を水に溶いてみたところ、はっきり形の残っているゾウムシが4個体、遠目で見ると切り干し大根のように見えるが、近くではっきり見ると体節構造が認められる環形動物の破片とか鱗翅目幼虫と思われる物体がたくさん出てきて非常に面白かった。正確な同定はしなかったのだが、それをすればトラツグミがどんな場所でエサを漁っているのかある程度推測できるので、これを手がかりにしてエサ場を探すこともできよう。また心臓を摘出して心房と心室の関係性を確かめようとしたのだが、切開した位置が悪かったか確認できず。

解剖がひと段落したところでカレー屋でお昼を済ませ、後半戦を始める。乾燥が進み剥製づくりが技術的に無理そうだと感じたトラツグミは1年生たちが羽をむしってから解剖し(羽を残したまま解剖するとたいへんやりづらい)、残りの2羽は610とスタッフの方とで剥製づくりを前提として解剖を進める。
13時半ごろから始めた剥皮作業は、完ぺきではないものの体幹部分を取り外し、上腕骨および橈尺骨・大腿骨の除肉、頭骨の剥皮といった一連の行程を済ませるまでに4時間以上要した。前半の解剖の際に既に気が付いていたのだが、トリの皮は哺乳類と違って本当に薄く破れやすい。まっとうな剥製を作るのであればどんな小さな穴が開くことも許されないのだが、素人の610にはまだ敷居の高いクオリティらしく、数か所穴をあけてしまった。状態の良い標本であっただけに自分の不手際でどんどん状態を悪くして行ってしまうことにためらいを感じずにはいられない。また頭骨を剥離したのは良いのだが、これをきれいにかぶせようとするとうまく戻らない。無理に戻そうとすること自体愚かなのだが、そうしてしまった時に皮が破れるような不穏な感触を確かに感じてしまった・・・
スタッフの方は順調に剥皮を続けていたのだが、体幹部を四肢・首から取り外し尾から切り離せば大ざっぱな除肉が完了する、と言ったところで尾が分離してしまうトラブルが発生し剥製づくりを断念されてしまった。かように剥製づくりは難易度が高いのである。それでもトリは哺乳類と違って翼の部分のみを標本として残すことができる利点があり、頭骨と共に摘出されお持ち帰りになった。たしかに翼だけの標本だと体積をとらないので保管がしやすそうだ。
ちなみに15時過ぎからY君がシロハラの剥製づくりに挑戦していたのだが、こちらは体サイズだけでなく翼と胴部の関節の位置がトラツグミと違っていたこともあり、何処をどのようにすれば楽だよとかそういったアドバイスがし辛かったのだが、皮の破れやすさを再三警告した買いがあったのか、いやY君のセンスがあったからに違いないのだが、とてもきれいに剥皮されていた。その後Yさんにバトンタッチされ体幹部分が摘出されたがこれも問題なく終わった。しかし参加者の集中力が限界に達したため、これにて終了。続きは明日の標本学特講で…

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明日も引き続き部室で作業(EB61610 標本学特講、0.0単位、春季休業開講、1-4年次対象)を行う予定で、昆虫標本や骨の整理をしようと考えています。
―当初はその予定でしたが、トリの剥製づくりが中途半端な状態になっているので、まずはトリの処理をしてからになりそうです。
ちなみに剥皮したトリの皮についている組織を出来るだけ取り除き、そこに防腐剤と羽の脱落を防ぐ(収斂させる)薬剤を塗布する行程が待ち構えております。2時間くらいで終わるとよいのですが…  


Posted by Impulse610 at 18:10Comments(0)