2014年09月17日

滝壺の横で(飛沫を浴びながら)石をひっくり返す人生

今朝は8時起床、9時過ぎ出発。固定したカワゲラ卵を整理したり第7のカワゲラのソーティングを行ったりして午前中が消費され、午後は唐沢へ出かけてカワゲラ探し。先日と同じセンスでミネトワダの棲息を確認し、終齢っぽい個体をいくつか採集したのだが、その結果びしょ濡れになってしまい寒さに震えながら人生を感じることになってしまった。こんな思いをしてまで幼虫を採集するより成虫を捕まえたほうが楽なんじゃないかとも思うのだが、聞くところによると成虫を捕まえるのは至難の業だという。たしかに幼虫は姿が見えなくてもおおよそいる場所は見当がつくし、どちらかというととろくて見失うこともないし、しかも今まで取り扱ってきたカワゲラの中で最も頑健で強く摘まんでもつぶれることが無く保持しやすい(彼らのいる水温を考えると長時間摘まむのは避けるべきだが)。あとは飼育下で無事に脱皮をしてくれればいいのだが、先日採集したものはすでに4個体も死んでしまっている。
滝壺の横で(飛沫を浴びながら)石をひっくり返す人生


採集時の環境から、彼らは一般的なカワゲラ幼虫と異なりあまり深い水を必要としないらしい。水がしみ出すような所だと体が水に浸っていない状態で石の裏にへばりついていることもあった。この水生昆虫と陸上昆虫のボーダーにいるような不思議な生き様は何を反映しているのだろうか。610は今のところ終齢幼虫が脱皮前になると陸で過ごすことが多くなるんじゃないかと考えているのだが、そう思いいたる傍証は幼虫たちの生存確認をすることで得られる。ご覧のように上陸して石の上でじっとしている個体をしばしば目にするのである。でも上陸個体がすぐさま脱皮をするのかというとそうでもないらしく、しばらくしたらいなくなっていたりする。謎である。
それから、幼虫たちをよく見ると体色がやたら赤っぽい個体が混じっていることも分かった。成虫の体色を反映している→羽化間近な終齢幼虫、という推測をしているがどうなのだろう。あるいは性差かもしれない。1匹ずつ個別に飼育してデータを取れば何かが分かるかもしれない。
ああ、でも性差を調べるなら「どの段階で性差の徴表たる体色変化が生じるのか」知る必要があって、そうなると卵から成虫にする必要があるなあ。成虫になるまで4年かかるようだし、現実的ではないかも・・・
ちなみにミネトワダ幼虫の他にフサオナシカワゲラ成虫もゲット。だが帰って検鏡してみたらオスのようで発生学的研究を行うには使えない。オナシカワゲラは今までで最も沢山採集しているはずなのだが卵の質が最高に悪く、追加の卵を欲している最中なのである。秋のオナシカワゲラが出てきているのは前々から確認しているので、ぜひともメスを捕まえ卵を産ませたいところである・・・
びしょ濡れになったので一旦寮に戻って着替え、センターに復帰後は英会話のレッスンに出て夕食後少し調べ物をして21時頃帰寮。採集を終えるころから霧がひどくなり、夜になったら凄まじいことになっていた。幻想的なのは大いに結構だが、車どおりが少ないところとはいえ運転するのはとてもおっかない(畑に突っ込んだら生命の危機に瀕する)。

~・~・~

明日から海山実習の後半戦が始まります。参加者は4名と少ないようですが、彼らの境遇にかつての隠岐の島の公開臨海実習を勝手に重ね合わせ、菅平での実習を(いい意味で?)忘れられないものにしてもらいたいですね。



Posted by Impulse610 at 18:10│Comments(0)
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