2015年07月26日

いよいよ実習が始まる人生

7-21
今朝は怒りの4時起床.この目覚めを待っていた.とっととラボに向かい,まずは蛍光観察.思っていたよりも進捗が得られず人生の儚さを痛感していたのだが,その後卵固定を経て今シーズン初の生卵解剖に挑戦した結果,固定液に移したはずの胚が消滅.ご主人様に裏切られる奴隷の末路は想像したくない.お昼過ぎは暑すぎてラボで作業する気力が失せたのでオフィスで画像整理.蛍光観察の一覧表の穴もほとんど埋めることができ,見栄えが良くなる.本当はこのツギハギだらけの表を刷新すべきだが,今はとりあえずこれでもよいだろう.
夕食前にピンセットを研いでいたら先端が欠ける.行く末がこんなところで暗示されなくても,と思いつつ,何の前触れもなく消えた生卵解剖の胚を偲びつつ,行動の先に光が見えない人生を嘆き22時前帰寮.

追記
ドイツでの学会関連で要旨をBOSSに送ったところ,いきなりメールでこういうのを送ってこないでほしい,考えを要する内容は直接尋ねに来てほしい旨の教育的指導を受ける.先日似たようなことを先輩にもやって,恐らくこれが原因でお叱りを受けたばかりなのだが,対人コミュニケーションが不得手な弊奴隷にとってはいささか辛い現実である.

私がメールを多用してしまう理由はいくつかあるのだが,一番のポイントはメールだと直接会って話すよりも要件を正確に伝えられるからである.10伝えるべきことがあったとすると,直接会って言う場合,よくて半分くらいしか言葉として出てこないのである.これは我が天性のコミュニケーションスキルに由来するらしい.
それから,メールは直接話すとの違って,相手が余裕のある時に返事に目を向けられるわけだから,時間を奪ってしまうという罪悪感がグッと減ることもまた重要である.話がうまくできない私にとっては,言葉に詰まるとか,不十分な情報を伝達して結果的に余計な時間を奪ってしまうのが日常茶飯事であるし,BOSSや先輩方の仕事の重要さとか忙しさに比べれば,弊ラボにおいて唯一業績の無い弊奴隷はカーストの外に位置する訳だから,なおさらそう感じさせるのである.

だがここでは,あまりそう深く考えなくても良いらしい.私が話下手かどうかはともかくとして,会って時間を奪われてしまう,という感覚が希薄なようである.まあ環境が特殊だから,"内地"に比べれば研究に割ける時間は相対的に多いということもあるのかもしれない.むしろ,こういう距離が近い環境において,メールで何でも処理しようとするのは先人の心証を損ねかねないようだ.どうしてもメールに固執する気持ちもないわけだし,菅平に来たのだから菅平のルールに従うべきだろう.


7-22
何時に起きたか忘れる.朝にBOSSから直々に教育的指導(その2)を受け,私のコミュニケーション能力の欠乏による反省を強いられ辛い人生を送る.下手をすると対人恐怖症を増すばかりかメール恐怖症にもなりかねないので,あまり深く考えず生きる必要がある.しかし哀しい出来事は連続するもので,菅平カワゲラ界の巨漢,モンカワゲラ卵にまさかの包埋蜂起を企図され非常に困る.彼らの怒りを鎮めるために,今年は新たに採集したカワゲラ達との対話の機会を設けねばならない.

7-23
恒例の高山蝶パトロール中止の連絡を受け,正規の4回分は全て雨に流された.日曜に縦走してでも登ったのは正解だった(そのあとウォッカの飲み過ぎで吐きまくった点は不正解).雨が降ったりやんだりしていたので始バスを使いショートカットして出所.お昼前に来週からの実習に関する打ち合わせを行う.カワゲラに隷属する隙も与えられないような過激な日々を過ごすことになりそうで,ちょっぴり嬉しくなる(もちろん隷属から解放されることに起因している).その後蛍光観察をし続けていたのだが,ここ最近各方面からお叱りを受け,自らの人間性の劣悪さを再確認する作業が続いているせいか,非常に厳しい精神状態を幾度か体験した.まあ今度の実習で精神が安定すればいいのだが,ラボのメンバーだけでなく実習生からもTA能力の低さを誹謗される世界線が導かれる可能性が高く,行動する前から光が見えない.

7-24
昨日8時間近く暗室に籠っていた影響か,実験を進める意欲が湧いてこない.負担の少ない切片作りのための樹脂包埋作業をメインに据えつつ,掃除や会議といった雑用を挟みつつ,実習の予習や準備を進めていく.実習生の書いたスケッチを見て過不足を指摘するのも業務の一つで,昆虫の外部形態をしっかり理解しておかないといけない.付け焼刃の知識では不十分だと分かりつつも,ゼロから勉強する訳ではないのでそんなに悲観しなくてもよいだろう.それに外部形態のお勉強は本業でも充分役立つし,研究意欲が低いのと裏腹に学習意欲は高いこともあり,昨日のような哀しい気分になることもない.

7-25
6時起床,洗濯をして7時過ぎ出発.昨日から準備をしている昆虫のクチクラ標本の出来栄えをチェックしたり,樹脂包埋の作業を進めたり,実習用のテキストを用意したりする.昼過ぎには採集場所への下見に出かけ,標本作成の見本に使うオニヤンマをGET.ついでにヨタカの死体も手に入れたが,状態はそんなによくなかったので帰ってきてすぐさま翼標本を作り,骨取りは腐敗に任せる.樹脂包埋やクチクラ標本の処理を終えてから帰寮.

7-26
7時過ぎセンター着,カワゲラへの隷属に小康状態が訪れ,つかの間の安寧を感じつつクチクラ標本の準備や実習関連の対策をして生きる.ハチ屋S氏からネズミの液浸標本を頂いたので,これをそのうち皮・骨標本にしたい.明日のこともあり早めに帰寮するが,夕食時に前泊組の学生に遭遇.別の実習を終えてそのまま菅平に来たようで,彼らもお疲れの様子.

~・~・~

というわけで明日からいよいよ実習が始まります.天候にも恵まれそうで,シフト制が撤廃され,ほぼ1日つきっきりで指導をするという厳しい戦いが予想されます.まあ,普段のカワゲラに対する隷属に比べれば何もかも大したことはないわけですが,普段の隷属を空き時間にすることを思うと死が予感されます.幸いにも今は処理すべきものがほとんどないためあまり懸念せずに済みそうですが...
いちおう,今回は過去最大級の参加人数で,3分の1近くがやどけん関係者で占められるようです.先輩方からもきつく言われているように,ここをサークル活動の延長としてとらえて彼らと接してしまっては,実習としてのクオリティを損ねてしまいますし,一般の実習生に対しても不利益をもたらすかもしれません.そのあたりには十分配慮して,サークルと実習とを峻別するようにするつもりです.
標本作りや採集方法のお手本として説明したり,あるいは学生のスケッチをチェックしたりもします.趣味で鳴く実習の場であることを考えて,自己流の方法と,本来教えるべき方法とをごっちゃにせず,かつ昆虫の外部形態や同定について誤解を与えないような説明ができるかどうか,きっとうまくできないでしょう.行動の先に光が見えないのに,Just Do Itの精神を強いられるため大変そうですが,まあ結局のところ,空気の張り詰めるような居心地の悪い実習ではないので,何とかなるのでしょう.でもそれに甘んじず,TAとして果たすべき職務を全うする心構えで土曜日まで生きていきます(当然ブログの更新なんてしている暇はありません).
  


Posted by Impulse610 at 18:10Comments(0)