2013年08月24日

夢応の鯉魚

昨日はロシア語研修についていろいろと考えていたのですが、どうにもできない状況であれこれ考えていても術なしと、しばらくしてから気が付きました。今回は出発日時が後退した分、ビザ以外の準備をするのには余裕があります。下田の臨海実習を29日に抜け、9/2までの5日間で大方のものを揃えることはできるでしょう。しばらくはのんびり、しかしこなすべきことはこなして過ごすことにしましょう。

ということで、本日は大半の時間を以下の旅行記のまとめに費やしておりました。

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さて改めて、19日から22日まで滋賀県高島市、針江地区を拠点としたやどけんの夏合宿に行っていました。タイトルとは裏腹に、610は殆ど琵琶湖におらず山に遊んでいたのですが、それはそれは色々な生き物が見つかりました。時系列に沿って紹介していきます。
※最近『新釈雨月物語 新釈春雨物語』にはまっている影響で、文体が滅茶苦茶になっています。ご容赦ください。また、飲酒に関する言及がありますが、飲んだ人は全員が20歳に達しています。

1日目:4時出発、川崎駅までの2km近い道のりを、重い荷物を引き引き歩く。そこからはひたすら東海道線に沿って移動。
つくば出発組でトラブルが起こったようで、集合場所が変わったりするハプニングが生じたが、610は気にせずレンタカーを借りてから現地集合組と合流。彼らを初日の宿泊場所へ運び、そこでほかのメンバーと合流してから本合宿の拠点となる針江地区へ移動。


近くの神社でおがくずを噴出している木が積んであったので近寄ってみたところ、期待していたものとは違う昆虫が目に入る。幸いにも手づかみで採集に成功、のちに琵琶湖を中心とした関西地方にしかいないオオサカサナエであることが判明。まだ採集モードに入っていなかったものの、いきなり名物に出会えてテンションは昂ぶる。


針江地区には水路にバイカモが繁茂していたり、水路の中に色々な生き物がいたりしていて、水物屋にとっては発狂やむなしの聖地であるらしい。610は基本的に陸の生き物に嗜好が偏っているのでそこまで狂えないのだが、なるほど趣深いところかなとは思う。
夕方はホテルに戻り、近くの食堂で夕食を取ってから買出しの後ミーティングをして活動終了。Mお嬢が初日から晩酌をたしなんだ様で610は驚きを隠せないのであった。

2日目:山組と針江組に分かれて1日散策に費やす。610は当然山組で、ガロアムシをメインターゲットにそこここをめぐることにする。


最初に棚田の名所に向かう。「これは」と唸る生き物は見いだせなかったものの、クロゲンゴロウ・ガムシ・キイトトンボといった顔なじみであり、しかし良好な田んぼがある指標となる生き物たちに出会えてよい気分になる。


次に少し引き返して渓流沿いの散策をしようと思ったのだが、他のグループが川岸で賑やかしかったので、我々は川沿いのスギ林でうろつく。
ここではノシメトンボのようでいて立派な眉をたたえるマユタテアカネやアオイトトンボが多数見つかり、更にはY君によってシマヘビも発見された。残念ながら彼は穴に潜っていってしまって採取は出来なかったものの、宝篋山では未だ見かけぬ蛇にて、610のテンションさらに上を向くのであった。

では写真のシマヘビはというと、この先の更に山奥のポイントで見出したものである。ここでは昼ご飯を食べてから散策をしようと思っていたのだが、おにぎりをほおばっていたらこのヘビと眼があってしまってさあ大変。今度は逃がすことなく手中におさめられたのだが、案外大人しそうで飼育欲がそそられる。少し体色が暗くて縞がはっきりしていないところが物足りなくはあるが、無闇に噛みつこうとしてこない個体をキープするのはそう簡単なことではなかろう。


シマヘビについて一段落してからはガレ場を掘り進めていく。生憎ガロアムシは出てこなかったのだが、茶色く輝く5mmほどの昆虫を掘りだした。そう、これはガロア掘りをしていたら一度は拝みたくなるへんちくりんなゴミムシ、その名メクラチビゴミムシの類なのである。かつてオサムシ類に対する情熱が盛んだったころにはこのメクラチビゴミも憧れの一つであったのだが、齢22にしてようやくその姿を拝むことができ、感服する。


次にいきものふれあいの里という施設に向かう。ここで一時の涼を求めたのだが、哀しいかな冷房は起動していなかった。しかしながら、哺乳類や鳥類の剥製が随分と充実していたのでなかなか見ごたえがあった。
その後は安曇川の河川敷に降り立ち、カワラバッタ探しに挑む。採集するのも撮影するのも非常に大変だが、炎天下の中河原を駆け回るのは大変に面白く、心の安らぐひと時でもある。


この場所には中州に本流とは切り離された池があって、ここに水生昆虫を期待してみたのだが、網を入れども入れども取れるのはオタマジャクシばかり。かろうじてミズカマキリが見つかったにすぎず、水生昆虫用トラップを仕掛けるのは見送らざるを得なかったのが悔やまれる。


目的ははたせねども充実した観察を終え、本合宿の拠点「針江生水の郷」に向かう。ご覧のように古民家を改修した施設で、趣のあるたたずまいである。


さてこの地区の家々には、中に水路の水が引かれている。いや、家の中から井戸水がわき出ているといった方が良いのかもしれない。これ「川端(かばた)」と呼び、里人はここで食器や顔を洗ったりするという。家によってはここに魚を住まわせ、残飯処理をも行わせるのだという。
今回の旅行を牛耳るJ君がいかにも好きそうな雰囲気で、前々からここを推していたのも良く分かることよ、と思いつつ、この日は彼が食事当番ということもあって、食卓には地元の名物が並ぶ。


つい数日前まで博物館で鳴く虫の世話をしていたのだが、その水槽の中には鉢を割ったものを投入していたものがあった。この赤こんにゃくをみていると、どうしても鉢のかけらにしか見えず、この下にはカワラスズが隠れてはいやしないかと気になって仕方がなかった。
さてこの日は食事にあまりに時間がかかりすぎてしまい、一段落ついたときには日付を越えむとしていた。流石の610でも、車を飛ばして生き物さがしに行くだけの元気は残っておらず、畳の上に息絶えたのであった。
ちなみにこの日、Mお嬢はJ君が近くの酒蔵で買ったお酒を大量消費していたのであった。

3日目:朝食および支度を済ませ、610は飽きずに山へ遊びに行く。メンバーは大体入れ替わったものの、同じ場所には案内をせず、新規開拓を行う。


昨日仕掛けられなかったトラップを仕掛けむと、地図上にあるとあるため池を目指して歩みを進めたものの、なかなかたどり着けない。
どうしようかと思案しつつ、立ち寄った木陰の水路の中に沈む怪しげな物体を610は見誤ることなく拾い上げた。ご覧あれ、これこそシカの頭蓋骨!なぜこんなところに、しかも頭の大部分だけが沈んでいたのか知る由もないが、とにかく素晴らしい収獲である。


さて目指すため池は魚の養殖池と化しており、どうしようもなかったのだが、すぐ脇には稲だけが不足している田んぼがあり、ここでもクロゲンゴロウやガムシを初めとする各種水生昆虫を見出すことができた。けだし、この程度の昆虫がいるような場所はある程度推測ができるようになってきたかもしれない。


その後は山奥へ移動し、渓流沿いの山道を散策してみたのだが期待外れに終わる。Sui-Soh君がトビナナフシを見つけたのがほぼすべての収獲であった。そして山道へ行く途中に見つけた、防砂ダム界隈のポイントに向かっていた矢先・・・


N君がシカと目が合ったようで、その指差す方向を見れば確かにこちらを睥睨する若鹿の1つあれば、一同興奮す。骨だけでなく生体を、奈良公園で湧いているようなものではなく生粋の野生種を見られたのは嬉しい限りである。


そして川岸に降り立とうとしていたら、出会ってはいけない環形動物の地を尺取り歩むを見出してしまった。610は中学生の頃、ヤマビルに一度血を吸われたことがあったのだが、姿を見るのは今回が初めて。おぞましきことよ。






さてこの地、予想を上回るほど面白い生き物が多々見つかる。渓流に網を入れればハヤの稚魚(タカハヤでは?とのこと)数多見出せるし、河原にはイシガメがせかせかと歩いているし(この個体、持ち上げてもジタバタすること止めずなるはいとらうたし)、斜面の水の染み出したるところではいと赤きガマガエルの不機嫌なるさま侍っているし(鼓膜がはっきり見えていること、体色の赤きこと、ナガレヒキガエルに相違なし)、イモリの幾何か水際に揺蕩うさま、えも言わずをかし。いやはや、げに素晴らしい場所である。ちなみにここではルリボシヤンマらしきヤンマが水たまりの上で悠々飛んでいたのだが、捕まえること能はず。

さて夢のようなひと時を過ごした後は、昨日と同じカワラバッタポイントで遊ぶ。ただし610に限っては、昨日捕まえたシマヘビのエサ用のカエルを終始採集していたのであった。

本日は610が食事当番なので、活動を早めに切り上げなければならない。前日のJ君は食事にたいそうこだわりを持っていたが、610はまさにその対極にあって、何のこだわりもない。強いてあると言えるのは、如何に早く調理を終えられるかという目論みだけである。そういうこともあって19時前にはいただきますの号令を発することができ、昨日は適わなかった夜の散策に向かうには充分な余裕を持つことができた。
ところが、Mお嬢が酒蔵で新たなる酒を買ってきて、それを飲んでつぶれてしまった。彼女以外の酒飲み上級生を中心に、彼女の処置に関していろいろやりあっていた都合上、なかなか出発することができず待ちぼうけを食らってしまった(のちに酔いがさめたMお嬢は、上級生からたんとお説教を受けたのであった…)。


さて夜の散策に飛び出した一行は、灯火採集をすべくとあるダムを目指していったのだが、種々の事情で立ち入ることができなかった。この道中でシカの親子と遭遇したことくらいが収穫であったが、灯りが無ければ大したものも見つからず、移動を余儀なくされる。下準備をほとんどしていない610にとって、灯火ポイントを探すのは難しいことであったため、行動内容を大きく転換して峠道のトンネルに向かってみることにした。
トンネルに向かう途中、道を間違えて街頭に立ち寄ることができたのだが、ここでは緑色のコカマキリの幼虫やクツワムシの鳴き声、また610は確認できなかったがネズミ様の小動物のいと疾く走り去るがいたという。
さてこのトンネル、夜だというのに灯りの一つもついていない。そんな所に一人で訪れるだけの度胸は610にはないが、大勢いれば随分楽しい散策ができる。ただし予想に反して見つかる生き物は少ない。


トンネルの両端には水が流れていて、そこにサワガニが沢山、たまにアカガエルが座っているのであるが、それくらいである。壁を見ればカマドウマが張り付いているが、こちらはどうやら模様や後脚、触角の形態が異なる3タイプを確認できた。総じて確認できた生き物は多くなかったが、満月のもと、通う人もない峠道の頂上で遊ぶ心地、木々の切れ間より見渡す近江の海の景色、何にたとふべき。
ちなみに、道中何度かニホンジカの道を渡りたる場面に遭遇。うち一度は田んぼの脇を平然と走り去るところに出くわし、危うく鹿身事故を起こしそうになった。里に下りて農作物を食い荒らしたり、あるいは自動車とぶつかって事故が起こってしまうようだと、いくら野生動物とはいえども、あまり出会いたくはない存在なのかもしれない…

さて宿に戻ってみれば、寝場所すでに飽和しており、610ひとり冷房の効かぬ部屋に伏す。勿論寝付けるわけがない…

4日目:数時間しか眠っていないはずだが、あまり眠くはない。散らかっている自分の荷物を片付けたり、朝食の準備をしたり(昨日のうちに殆ど終えているので、することはごく僅か)、宿の清掃をしたあとは、解散まで残されたわずかな時間を使って最後の散策に出向く。昨日の砂防ダムがあまりにすばらしかったのでもう一度…


昨日よりも一回り小さなイシガメが見つかった。宝篋山ではクサガメしか見つけていないので、なかなかテンションが上がる。


直射日光は差し込むのだが、すぐそばに冷たい水が流れているので長居できる上に、林道を通る車もごくわずか、本当に素晴らしいところである。新幹線でつくばへ帰るJ君ら一行が山に行きたいと言っていたのでこの場所を推したのだが、果たして彼らはここに来たのかなあ…


U君の希望で、宿に戻る前に少しだけ琵琶の海に立ち寄る。涼しげな見た目とは裏腹に水が暖かだったのが不思議な感じであった。

さて宿に戻ると、もう終わっていつでも出発できる体制になっているのかなあと思っていたがそうではなく、ドタバタと片づけに追われているメンバーの様子を見ていると、やどけんらしさを感じるとともに、これでは飛行機を使った合宿はできないだろうなあとも感じられる。針江に向かうと決まる前は、やれ対馬に行きたいだの津軽に行きたいだのわめいていたものだが、行きたいという気持ちだけで現実の困難さに目をつぶり、会長の職権を濫用して行き先を決定しなくて本当によかったなあと感じられるのでもあった。その代わり、今回の合宿を取りまとめてくれたJ君に、本来610が負うべき責任の大半を担わせてしまったのだが・・・


記念写真を撮って解散してから、610はレンタカーを返しに向かうのだが、車を戻してから駅までは徒歩10分ほどの距離がある。初日こそ、炎天下の中20kg近い荷物を携えて歩いていくことができたものの、もはや帰りにはその気力は残されていない。なので、最寄駅に荷物を置いておきたいのだが、万が一のことも考えて荷物番がいてほしい。ここで昨晩やらかしたMお嬢に白羽の矢が立ち、慈善事業の一環として荷物番をしてもらったのであった。彼女は大阪の実家から合宿に参加していて、何と1時間程度で帰れるのだという。そんな彼女と途中まで色々と話していたのだが、結局は一人旅を薦めたところで別れる。
ところでレンタカーを返して駅に戻る途中で見つけたこの草、見たことのないものなのだが名を何と申すのだろうか・・・

米原に差し掛かったところで、18きっぱーの3名と遭遇。途中浜松まで同行、しかし610はもう疲れ切ってしまっており、川崎まで18きっぷで乗りとおす元気は残っていなかった。そこで浜松で異例の新幹線ワープを実行、20時台に実家に戻ったのであった。

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ブログ上ではこの程度に編纂してありますが、11月の雙峰祭で発表する旅行記はもういくつか付加情報があります。採集した生物のリストも掲載します。この旅行記に関しては、webページ上で公開するかも知れません。
また、Mお嬢に許可を得たので、彼女を題材に一筆したためるつもりでもあります。こちらについては、題材が内輪的過ぎるので、何も知らなくても楽しめるような物語調にしたく思っています(雙峰祭でのみ公開、その他は原則非公開)。まあ、そんなことをしている余裕があるのかは分かりませんが…

  


Posted by Impulse610 at 18:10Comments(2)