2012年03月26日

臨海実習1日目

430起床。身支度を整え、六郷土手554発の列車に乗って高校へ向かうのだが、これが「H谷生最速の登校」を目指していた高3時代を彷彿とされる。ただし今回は集合場所の都合上赤坂見附まで乗車。生物室で先生方にあいさつをしてから荷物をバスへ運ぶ。移動中に『アメリカ下層教育現場』読了。日本以上に学歴が必要とされるアメリカで「落ちこぼれた」高校生たちの現実を突き付けられる。

東大三崎臨海実験所に到着して荷物を整理し、さっそく磯へ。ここでは生研と大学での先輩であるK先輩(高校時代の上級生は「先輩」と呼びたい)と相部屋となる。実習に参加した高校生は1,2年生含めて20名で、磯で集める生き物ごとに5つの班が分かれていた。610はこのうち貝類担当となったので、今回は貝類をきちんと探すことにする。しかしながら、いわゆる貝殻はそこらじゅうに見つかるのだが生きた貝はなかなか見つからない。いや、正格に言えばヒザラガイはいくらでも見つかる。これを引っぺがすのもなかなか苦労するし、殻のついた貝類を見つけ出したいのだが、潮溜まりの中で動いているものは大抵ヤドカリ。
ただルッキングしているだけでは収穫がなさそうだったので、岩をひっくり返す戦法を交えて探していくうちにだんだんと見つかってくる。
むろん、貝だけでなくいろんな生き物を捕まえてはバケツに入れていく。ヒジキ帯の上に、まさかと思うが15cm位の赤い魚が打ち上げられていた。オハグロベラだったのだろうか。それとマダコが見つかったりもした(これは漁業権に引っかかるので観察ができない!)。07年の夏に葉山でタコ捕まえて高校まで持って帰ってしまった記憶があるのだが、あれはまずかったのかなあ…
ただ、3月後半とはいえ海の中は冷たいまさか「泳ぎながら採集」すると思っている人はいらっしゃらないでしょうね。聞くところによれば、本日の水温は真冬並みの12℃とのこと。きれいなタカラガイを拾おうとしても指がかじかんでつまむこともままならないのはなかなかに堪える。寒がっているようじゃ面白い生き物も見つけられないのだが、この時はまだ着替えがあるから大丈夫だろうと高をくくっていた

お昼ご飯にしようと上陸したのはいいが、急に天候が怪しくなってきた。風が強く、強烈に寒い。それなりに生き物も取れたし、このままでは体力も消費する一方だということで撤収。宿舎とは別のところにある実習室に捕まえた生き物たちを運び入れ、おおざっぱに分類をする。610はこの時、後の予定を考えて、このまま濡れた状態で過ごしていると間違いなく風邪を引く気がしたので部屋へ戻り、せめて靴だけでも履き替えようと決意。上着もジャージだけでなくフリースや作業服まで濡らしてしまったので着替えた方がいいかなと思い荷物を漁ってみたのだが・・・替えの上着はない! ということはつまり、この実習ではずっと同じ作業服を着続けねばならない。独り暮らしを初めて洗濯代を節約するためや、3月は2回遠くへ出かけたこともあり、同じ服を2日3日着続けることに抵抗は無くなったのだが、着替えが無い状況で唯一の服が濡れてしまったらどれほど困るのか悩むことは無かった。
ひとまず、作業服は脱いで乾かし、フリースとジャージはだましだまし乾かすことにして実習室へ戻り、仕分け、それと同時並行して行われるウニの発生実験に参加する。

参加するとはいっても、610は生徒ではなくTAとしてここにきていることもあって、自分で手を動かすというよりは生徒の様子を見守る立場となる。しかしながら、同じくTAとして参加しているK先輩やMさん(面識のない先輩には「さん」付けをしたい:ちなみにMさんは覚えてないかもしれないが、610は16R時代にMさんのいたクラスに行き合掌祭の練習を聞きに行った。Mさんのクラスでは『宇宙戦艦ヤマト』を歌うことになっており、調子に乗ったY山氏が歌い始めたのを怒鳴りつけたのがMさんだったことが強烈な思い出として覚えていたのだが、このことは尋ねられなかった)は積極的に分類に参加してうまく生徒に対応できているのを見ている610がこういったことを苦手とすることは読者のみな様方にもお分かり頂けるだろうが、なかなか自発的に動くことができない。

夕食を前にして休憩が入る。実験所のすぐ隣のホテルの温泉が半額(500円)で入れるとのことだが、その時間が短く感じられたこともあって610はそちらへの参加を見送る。実際宿舎にもシャワーがついているので、そっちでいいかと思っていたのだが、これが後に失敗だったと分かる
夕食は宿舎向かい側の定食屋でカジキマグロの照り焼き?を食べる。衣類だけでなく御菓子類も持ち込まなかった610にとっては、明日の朝まで食事以外何も食べずに過ごすのはちょっと厳しいかなと思える程度にご飯の量が少なかったのでお変わりを要望したのだが、50円かかってしまった。これはいただけない。

夕食後再び実習室に戻り、高校のOBでH大の名誉教授たるU先生の講演を一時間ばかり聞くのだが・・・前半は浸透圧やイオンのことなどを触れていたのだが、H高校のカリキュラムでは1年次に化学を習うことはなく、モル濃度と言われても訳が分からない生徒も多かったのではないか。まあ実のところを言えばいまだに610も計算問題がきちんとこなせない(だから浪人して「地転」した)のだが… どうしようもない眠気に襲われるのだが、610は座っている場所柄、そしてTAという立場上寝るわけにはいかないだろうなあと感じていたので必死にこらえざるを得ない。もう少し高校生にもわかりやすいテーマにして欲しかったなあとは思う。
その後は図鑑を見ながら同定を進め、ウニの発生段階を観察していく。これが昆虫分類だったら、生徒が質問してきても科レベルまでは大体のムシを答えられるだろうが、海の生き物となるとまったくお手上げ状態。予習してくるというか、海洋生物自体への興味関心をもっと引き上げないとなあと痛感。

分類の発表を聞き終えてから宿舎に戻り、シャワーを浴びて寝ることにする。しかしながらこのシャワー、どんなに暑いお湯を出すようにカラムをいじってもぬるま湯しか出てこない。凍えながら体を洗う羽目になるとは…温泉に行くべきだったと猛省。  


Posted by Impulse610 at 18:10Comments(0)