2012年03月19日

他人のまなざしを制御することはできない

今朝は4:30起床。その後2度寝、3度寝を繰り返したのだが、『生きるのも死ぬのもイヤな君へ』読了。
タイトルを見ただけで薄々察知されそうだが、この本は「善良な一般市民」向けではないことをはじめにお断りしておく。そして、610はこのような「悪書」に飢えていることも付記しておく。

自分は絶対に善の側にいて、悪人をさばき続けるその安易な態度に寒気がします。地震の被災地の人にも漠然と同情しますよ。でも、それがテレビでも、新聞でも、街頭でも、あまりにも定型的に声高に唱えられると、自然に反発を覚えるのです。

ぼくが現に感じている犯罪被害者や被災者に対する共感より、世間で要求される共感は少し、いやかなり程度が高い。こうした差異構造のものとに、世間で「共感せよ!共感せよ!」と声高に叫ばれると、つい自分の実感よりももっと冷酷になって、「共感なんてしてやるもんか!」という気になる。


この本が刊行されたのは2009年のことだが、東日本大震災に対する610の態度をかなり的確に表していると言えるだろう。当時の610は「何もすることはない」宣言をしたうえで、どちらかといえば興味のない態度を貫いていたものだが、それを「世間」が許さないことは極めて不思議なことである。誰もが一様にこの国難に関心を持ち、同情すべきだという風潮に対する違和感を抱いていたのだが、ここにきてようやく言語化できたようで清々しい。

世間は、その中で成功した人には寛大です。でも何もしていない人には思いきり辛く当たる。

「よくいる普通の大学生」としか社会的認知をされない身分でああだこうだわめけば「世間では・・・」というお説教を食らう。ところが、例えば国際的に通用する芸術家が同じことを言うとお説教は聞かれない。『その計算しつくされた差別的態度は、ほんとうに反吐が出るほど』だと思う。

ぼくは、会社に入ってもそこそこ仕事はこなせると思うんです。でも、仕事以外の人間関係でつまずいてしまう。昼休みもひとりぽつんとどこか遠くの公園で食べてはらず、「みんな」と楽しそうに食堂で談話しなければならない。そんなときは、どの女性社員がかわいいとか、プロ野球の行く末がどうだとか……思いっきり普通の話をしなければならない。そういう話題に入っていけない、というより嫌悪を覚える僕は、どんなにがんばっても、いずれ煙たがられ排斥されると思うんです。

この一節もまた610自身の独白のようで読んでいて胸を突かれる思いがした。ここに「会社」に対する恐怖があることは否めないが、そのために昆虫の研究がしたいと考えたわけではない。昆虫に対する興味関心は人間関係の認知以前からあった。
ただ、曲がり曲がって「会社」に就職することになって人間関係の煩わしさを感じるようなことがあっても、これまでの経験からして独りで過ごすことにはそこまで苦悶することはないだろうかという楽観的推測が無いわけではない。

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本を読み終えてから急いで支度をして宝篋山へ。一応はムカシトンボのヤゴを探すことを目標にする。あと1か月もすれば羽化が始まると思うのだが、羽化を控えたヤゴは「上陸」するそうで、羽化写真を撮影するためにも、その姿を是非とも見ておきたいところ。ただし今日は後に控えるクラ代会のためにあまり時間を割けないので、さっと確かめる程度しかできない。どういう所に上陸を果たすのかのイメージが上手くできないこともあって見つけられず。



代わりというわけではないが、道の脇で朽ちていた木をひと蹴りしたらツクバクロオサムシが現れてしまった。労力をムカシトンボと比べるとやはり「経験の差」があるなあと思わざるを得ない。



フタホシヒラタアブ?のペア。GXRのマクロの精度が良く反映されているような写り具合だと思う。このペアを見つけて思ったのだが、ハナアブの交尾個体は今までそんなに見たことが無かったかもしれない。



ニホンカナヘビの幼生だろうか。さして大きな個体ではなかったが、写真うつりは随分よい方ではないだろうか。この姿勢は随分格好良く見える。背中から尾にかけての鱗に爬虫類らしさを感じる。



麓の田んぼではいくつかカエルの卵塊を発見。近寄れないところにあったので望遠撮影したが、多分ニホンアカガエルのものだろう。そういえば昨日兵太郎池の脇でカエルが死んでいたが、そろそろ彼らも目覚めたのであろう。

宝篋山ではチョウが一匹も見られなかったのだが、帰る際に隣接する畑でモンキチョウが3匹飛翔しているところを目撃。つくばにも着実に春が訪れていることを実感し安心。

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一旦部屋に戻って荷物整理をしてからクラ代会へ出席すべく待ち合わせ場所のコンビニまで移動。そこからK氏の家へ移動し、前回出席できなかった分の議事録をもらって話を伺う。1年次は特に上級生のクラ代がほとんど機能していなかったこともあって実質的な活動が殆どなかったのだが、K氏やA君を中心として来年度から活発に動かしていこうという勢いが感じられてなかなか面白そうだ。610なんぞこういう話し合いの場では最も素質の無い部類に属するので黙って話の流れを聞いていると居心地の悪さを感じもするのだが、生物学類生が見舞われる諸問題を少しでも解決できるようなら協力していきたいとは思っている。
610が突如坊主にしたのに反応が皆無だったことは、入学当初坊主にしていたからなのかもしれない。

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明日も天気が良いようなので、もう一度宝篋山に行こうかなと考えています。  


Posted by Impulse610 at 18:10Comments(2)